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第109回薬剤師国家試験 問226〜227

68歳女性。身長150cm、体重41kgBMI18.2)。独居。喫煙歴無し。飲酒しない。最近、体重の減少と体力の低下が気になっていたところ、テレビでフレイルの特集を見て、自分も該当するのではないかと心配となり、健康サポート薬局の薬剤師に相談に来た。薬剤師はこの女性に生活習慣について尋ね、以下の情報を得た。

・近頃、固いものが食べにくくなったので豆腐のような軟らかいものを好んで食べている。
・運動習慣は週に1回程度、散歩を行なってきたが、最近疲れやすくなったので外に出ない日が多くなった。
・年をとるとともに友人が少なくなったので、他者と交流する機会は、ほとんどない。

問226(衛生)
フレイルに関する内容として、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. フレイルは、加齢に伴う身体的、精神的な機能低下のことである。
  2. フレイルは、要介護になった状態のことである。
  3. フレイルは、回復することない病態である。
  4. フレイルの進行を防ぐことは、健康寿命の延伸につながる。
  5. フレイルは、過栄養により防ぐことができる。

解答・解説

解答
14

解説
1 正
フレイル(Frailty)とは、加齢に伴う身体的・精神的・社会的な脆弱性が進行し、健康と要介護の中間の状態を指す概念である。適切な介入を行うことで、健康な状態へ戻る可能性がある可逆的な段階とされている。

2 誤
解説1参照

3 誤
解説1参照

4 正
フレイルは、早期発見・適切な介入により進行を防ぎ、健康寿命の延伸につながる重要な概念である。

5 誤
フレイルの予防と対策として、運動(特にレジスタンス運動、有酸素運動)、バランスの良い栄養(タンパク質、ビタミンDの摂取)、社会的交流を保つことが重要である。なお、過栄養状態となると筋肉に対して脂肪が多くなるため、フレイルを誘発しやすくなる。

問227(実務)
薬剤師がこの女性にフレイル予防に関する提案の内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. タンパク質の摂取量を減らす。
  2. 咀嚼機能と嚥下機能の低下を防ぐため、口腔体操などを行う。
  3. 日常生活において、できるだけ紫外線を浴びないようにする。
  4. 疲労を回避するために、運動は現状よりも控える。
  5. 地域の活動に参加して、適度に人との交流を行う。
解答・解説

解答
25

解説
1 誤
タンパク質の摂取を減らすと、筋力の低下によりフレイルが進行しやすくなる。フレイルの予防と対策として、バランスの良い栄養(タンパク質、ビタミンDの摂取) を摂取する必要がある。

2 正
オーラルフレイルとは、口の機能(噛む・飲み込む・話す力など)が低下することで、全身のフレイルや要介護につながる状態を指す。適切な口腔体操を行うことで、咀嚼・嚥下機能を維持し、フレイル予防につながる。

3 誤
紫外線(UV)はフレイルの予防と進行に影響を与える重要な要素である。特に、ビタミンDの合成や骨・筋肉の健康維持に関与し、不足するとフレイルのリスクが高まる。

4 誤
フレイルは、加齢に伴う筋力低下・体力低下・活動量の減少などにより進行するため、適切な運動習慣を取り入れることで予防・改善が可能である。

5 正
フレイルは、身体的・精神的・社会的な衰えが進行する状態であり、特に社会的フレイル(人とのつながりの減少や孤立)が進むと、健康悪化や要介護のリスクが高まる。そのため、地域活動に参加することは、フレイル予防の重要な要素となる。

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