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第107回薬剤師国家試験 問330(実践問題) アレルギー反応

48歳女性。体重60kg。原因不明の急性腎不全で入院し、腹膜透析導入となった。腹膜透析カテーテル挿入術を終え、入院3日目より透析液Aで腹膜透析を開始した。入院10日目に除水効果のより高い透析液Bに変更して30分ほど経過した時点で、両下肢に広範囲にわたる皮疹と呼吸困難をともなう急激な血圧低下を認めた。なお、入院の10日前より開始したスクロオキシ水酸化鉄チュアブル錠の服用を継続している。

 両下肢の皮疹を認めた直後に調べた血液検査で好酸球数が増加していた。主治医から薬剤師への相談に対し、今回の有害事象に関連する提案として、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. スクロオキシ水酸化鉄に対するアレルギー反応が疑われるため、一時的に同薬剤の使用を中止する。
  2. 透析液変更による反応と考えられることから、透析液Bにブドウ糖を追加して浸透圧を透析液Aと合わせる。
  3. 透析液Bのイコデキストリンに対するアレルギー反応が疑われるため、透析液BからAに再度変更する。
  4. アドレナリンを静注する。
  5. トシリズマブを静注する。

解答・解説

解答
3、4

解説
 本症例では、透析液Aを透析液Bに変更し、30分ほど経過した時点で、両下肢に広範囲による皮疹と呼吸困難を伴う急激な血圧低下が認められ、また、両下肢の皮疹を認めた直後の血液検査で好中球が増加していることから透析液Bによりアレルギー反応が現れたと考えられる。

1 誤
スクロオキシ水酸化鉄チュアブル錠は、入院10日前より服用していることからスクロオキシ水酸化鉄がアレルギー反応を起こしたとは考えにくい。

2 誤
透析液変更によるアレルギー反応であると考えられるため、透析液Bにブドウ糖を追加して透析液Aと浸透圧を合わせることは不適切である。

3 正
前記参照

4 正
透析液Bの使用により呼吸困難、血圧低下が認められているため、気管支拡張作用、血管収縮作用を示すアドレナリンを静注することは適切である。

5 誤
透析液Bのアレルギー反応に対して関節リウマチの治療に用いられるトシリズマブを静注することは不適切である。

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