63歳女性。10年ほど前から股関節の痛みを感じ、整形外科を受診し変形性股関節症と診断された。処方1の薬剤の服用で様子を見ていたが、症状が悪化し、杖なしでは歩けなくなったため、医師から人工股関節置換術を勧められ入院して手術を受けることになった。患者が入院する病院Diagnosis Procedure Combination(DPC)制度対象病院で、手術後から処方2の薬剤を服用予定である。
問 324(実務)
この患者への処方2に関する服薬指導として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 手術後に傷口の血の流れをよくして治りを早くする薬です。
- この薬は人工股関節置換術後に起こる合併症の予防のために使用します。
- 手術後病室に戻ったらすぐに服用を始めてもらいます。
- この薬の服用中はグレープフルーツジュースを服用しないでください。
- あざができたり、歯ぐきから出血したら、すぐに教えてください。
解答・解説
解答
2、5
解説
1 誤
人工股関節置換術では、術後合併症として、脱臼、感染、静脈血栓塞栓症を生じることがある。術後の静脈血栓塞栓症を予防する目的で第Ⅹa因子を選択的に阻害するエドキサバンを用いることがある。
2 正
解説1参照
3 誤
本剤を人工股関節置換術の合併症を予防する目的で投与する場合には、手術後12時間を経過し、手術創等からの出血がないことを確認する必要がある。
4 誤
本剤の消失には、主にP糖タンパク質が関わっており、CYP3A4による代謝はわずかであることから、小腸のCYP3A4を阻害するグレープフルーツジュースの服用を避ける必要はない。
5 正
本剤は、副作用としてあざができたり、歯ぐきからの出血を起こすことがあるため、出血傾向が認められたら、担当の医師、薬剤師に伝えるよう説明する必要がある。
問 325(法規・制度・倫理)
服薬指導の際に、患者から入院費用について質問を受けた。手術を受ける病院での公的医療保険制度での医療費の支払いに関する説明として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 手術前に患者が希望すれば、医療費の支払いを全額出来高払いに変更できる。
- 人工股関節置換術の入院基本料は医療費の包括払いのため入院日数の上限が決まっている。
- 入院中に服用する処方1と処方2の薬剤費は医療費の包括払いに含まれている。
- 退院後のリハビリテーション料は医療費の包括払いに含まれている。
- 個室への入院を希望する場合は差額ベッド代が必要になる。
解答・解説
解答
3、5
解説
1 誤
Diagnosis Procedure Combination(DPC)制度とは、包括評価部分(入院基本料、検査、画像診断、投薬、注射、リハビリテーションに伴い使用された薬剤、1000点未満の処置等)と出来高評価部分(医学管理、手術、麻酔、放射線治療、リハビリテーション等)の合計額により、診療報酬の額を算定する制度である。よって、DPC制度の対象となる疾患の場合、患者の希望により医療費の支払いを全額出来高払いに変更することはできない。
2 誤
人工股関節置換術の入院基本料は包括評価部分に該当し、算定期間(特定入院期間)が定められているが、これを超過した場合、出来高払いとなる(入院日数に上限は設けられていない)。
3 正
解説1参照
4 誤
解説1参照
5 正
個室への入院や入院中の食事などは、DPC制度の包括対象外であるため、個室への入院を希望する場合には、差額ベッド代が必要となる。
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