62歳男性。身長161cm、体重58kg。半年ほど前から腋窩のしこりに気づいていたが、徐々に増大してきた。1ヶ月前よりだるさと38°Cの発熱が継続し、朝起きたときに下着が濡れているほどの汗をかくようになった。体重も減少してきたため、心配になって病院を受診した。患者の検査値等は以下のとおりである。
(検査値及び所見)
AST 51 IU/L、ALT 38 IU/L、LDH 2,543 IU/L、γ–GTP 224 IU/L、血清クレアチニン値 1.62 mg/dL、尿酸 8.4 mg/dL、血清 Na 136 mEq/L、 血清 K 4.5 mEq/L、血清 Ca 10.0 mg/dL、血清 P 3.0 mmol/L、血清アルブミン 4.0 g/dL、HbA1c 5.8%(NSGP値)、白血球数15,000/µL、 赤血球数 250×104/µL、Ht 35%、腋窩の腫瘍径は 5 cm
精査の結果、悪性リンパ腫と診断されたが、リンパ節生検でリード・ステルンベルグ(Reed–Sternberg)細胞などの巨細胞は確認されなかった。
問294(病態・薬物治療)
この患者の病態及び検査に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 非ホジキンリンパ腫の症例と考えられる。
- 発熱、大量の寝汗及び体重減少は、B症状の典型的症状である。
- 血清カルシウム値が高いため、骨破壊が進んでいる可能性が高い。
- 遺伝子検査では、フィラデルフィア染色体が検出される可能性が高い。
- 腎機能低下は、ベンズジョーンズタンパク質の増加による可能性が高い。
問 295(実務)
この患者は入院して R–CHOP 療法を施行することになった。
治療を開始する前の薬剤師の対応として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
- ラスブリカーゼの投与を提案する。
- 血糖測定を提案する。
- B型肝炎ウイルスへの感染の有無を確認する。
- ビンクリスチンの累積投与量が上限を超えないことを確認する。
- 心不全がないことを確認する。
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