近隣で喫茶店を営む高齢男性から、体調変化に関してかかりつけ薬剤師に相談があった。以前から神経因性疼痛があり、一般用医薬品の芍薬甘草湯を服用しているが、「最近、足がむずむずして気持ち悪いことが多く、夜も寝られないことがある。」とのことだった。近医を紹介し、お薬手帳を持参の上で受診するように提案した。その後、紹介した医師より、ドパミンアゴニスト使用不可のレストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)と診断され、以下の処方を考えている旨の連絡がこのかかりつけ薬剤師にあった。
問284(実務)
かかりつけ薬剤師が、患者や医師に対して行う処方薬に関する説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 飲みにくい場合は、自身で飲みやすいサイズに分割するように患者に説明する。
- 用量調整が必要になるので、肝機能検査値を医師に確認する。
- 芍薬甘草湯は併用できないので、服用中止を患者に説明する。
- 霧視等の眼障害について、診察時に医師から説明を受けたかについて患者に確認する。
- 眠気等が起こることがあるので自動車の運転は控えることを患者に説明する。
解答・解説
解答
4、5
解説
1 誤
本剤(ガバペンチン エナカルビル錠)は、徐放錠であり、自身で飲みやすいサイズに分割せず服用するように説明する。
2 誤
本剤の有効成分である代謝物のガバペンチンは、主に腎臓から消失されるため、腎機能が低下している状態に使用すると、血中濃度が上昇することがある。そのため、本剤を使用する際には、腎機能を確認する必要がある。
3 誤
本剤と芍薬甘草湯は併用することが可能である。
4 正
本剤は、副作用として霧視、調節障害等の眼障害が現れることがあるため、診療時医師から眼障害が現れることについて説明を受けたか確認する必要がある。
5 正
本剤を服用することにより、眠気、注意力・集中力の低下等が現れることがあるため、本剤服用中は、自動車の運転等、危険を伴う機械操作に従事させないよう注意する。
問285(薬剤)
ガバペンチンエナカルビル及びその製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ガバペンチンエナカルビルは、ガバペンチンの経口吸収のばらつきや飽和を改善するプロドラッグである。
- ガバペンチンエナカルビルは、カルボキシルエステラーゼによる代謝を受けて活性代謝物ガバペンチンに変換される。
- ガバペンチンエナカルビルは、ガバペンチンと同じCa2+チャネルを介して消化管から吸収される。
- 本錠剤には、崩壊剤としてグリセリン脂肪酸エステルが含まれる。
- 本錠剤は、腸溶性を示す。
解答・解説
解答
1、2
解説
1 正
ガバペンチンは、経口投与時、吸収のばらつきがあり、また薬物吸収トランスポーターの飽和による臨床用量付近で吸収の飽和が認められている。ガバペンチン エナカビルは、モノカルボン酸トランスポーター1(MCT1)、ナトリウム依存性マルチビタミントランスポーター(SMVT)により能動輸送されることで、ガバペンチンの経口吸収のばらつきや飽和を改善したプロドラッグである。
2 正
ガバペンチン エナカビルは、消化管上皮細胞内、肝臓等に存在するカルボキシルエステラーゼにより加水分解され、活性代謝物であるガバペンチンに変換される。
3 誤
ガバペンチンは、アミノ酸トランスポーターLAT1を介して、消化管から吸収され、ガバペンチン エナカビルと異なるトランスポーターを介して吸収される(解説1参照)。
4 誤
本剤には、乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステルが添加されている。
5 誤
本剤には、腸溶性コーティング剤は含まれてないため、腸溶性は示さない。
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