32歳女性。全大腸型潰瘍性大腸炎と診断され、プレドニゾロンで加療していたが再燃を繰り返したため、プレドニゾロンをインフリキシマブのバイオシミラー製剤に変更したところ軽快した。インフリキシマブに変更して6ヶ月目に全身倦怠感と顔面(頬部)の広範な紅斑を認め、TNF阻害薬誘発性のループス様症状と診断された。
問280(薬剤)
インフリキシマブのバイオシミラーに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- 先行バイオ医薬品の欠点を改良した完全ヒト化抗体である。
- 先行バイオ医薬品と同一の糖鎖を有する。
- 先行バイオ医薬品と同等/同質の安全性、有効性を有する。
- 臨床試験において、生物学的同等性試験による評価が必要である。
- 先行バイオ医薬品と同一の細胞を用いて製造される。
解答・解説
解答
3
解説
バイオシミラー(バイオ後続医薬品)とは、国内で既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイテクノロジー応用医薬品と同等/同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、異なる製造販売業者により開発された医薬品である。
1 誤
バイオシミラーは、先行バイオ医薬品の欠点を改良したものではない。
2 誤
バイオシミラーは、バイオ医薬品の本質であるアミノ酸配列は先行バイオ医薬品と同一であるが、細胞株、培養工程などが異なるため、糖鎖、不純物の割合などが先行バイオ医薬品と完全に一致しない。
3 正
前記参照
4 誤
バイオシミラーは、臨床試験において、先行バイオ医薬品と同等性/同質性を評価する必要がある。なお、生物学的同等性試験による評価が必要なのは、後発医薬品である。
5 誤
解説2参照
問281(実務)
ループス様症状は、インフリキシマブ投与の中止と高用量のプレドニゾロン投与により軽快した。このとき、消化性潰瘍の予防として使用されたのはどれか。1つ選べ。
- メサラジン
- アレンドロン酸
- フェブキソスタット
- エトドラク
- ランソプラゾール
解答・解説
解答
5
解説
本症例ではインフリキシマブ投与によりループス様症状(全身倦怠感、紅斑など)が認められ、インフリキシマブの投与を中止するとともに高用量のプレドニゾロンの投与を行った結果、ループス様症状が軽快した。高用量ノプレドニゾロンを使用すると副作用として消化性潰瘍が現れることがあるため、その予防としてプロトンポンプ阻害薬(ランソプラゾールなど)を使用する
1 誤
メサラジンは、炎症性腸疾患の治療に用いられるが、消化性潰瘍の予防には用いられない。
2 誤
アレンドロン酸は、骨粗しょう症の治療に用いられるが、消化性潰瘍の予防には用いられない。
3 誤
フェブキソスタットは、高尿酸血症の治療に用いられるが、消化性潰瘍の予防には用いられない。
4 誤
エトドラクは、関節リウマチ、変形性関節炎に伴う疼痛に用いられるが、消化性潰瘍の予防には用いられない。
5 正
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