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第104回薬剤師国家試験 問190〜191(理論問題) 過去問解説

19歳女性。高校生の頃から、気がつくと授業中に眠っていることがしばしばあったが、夜間に受験勉強に励んでいることが原因と思っていた。大学に入学後も、授業中に突然眠ってしまったり、夜間に悪夢を見たりした。眠気により食生活が不規則にもなった。心配になり、友人や家族に相談したところ病院受診を勧められた。診察及び検査の結果、ナルコレプシーと診断され、処方1及び2で3ヶ月治療されたが、症状が改善されないため、処方1が処方3に変更となった。

問190
本症例に関する病態、検査及び薬物療法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 睡眠時ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査が、診断に有用である。
  2. メチルフェニデート塩酸塩の代わりにアトモキセチン塩酸塩を用いることができる。
  3. 処方3の薬剤は、処方1の薬剤より依存性が高い。
  4. クロミプラミン塩酸塩は、REM睡眠関連症状の改善のために使用される。
  5. 日中覚醒できていれば、食生活と睡眠習慣の改善は推奨しない。

解答・解説

解答
1、3、4
(選択肢1、3、4のうち、2つを選択していれば正答とする)

解説
 ナルコレプシーとは、日中、場所や状況を選ばず強い眠気が起こる睡眠障害であり、オレキシン神経系がの低下が関与しているとされている。ナルコレプシーでは、主な症状として、睡眠発作(突然眠たくなる)、情動脱力発作(笑い、喜び、怒りなどがきっかけで起こる脱力)、入眠時幻覚(睡眠発作により睡眠に陥った際に見える幻覚)、睡眠麻痺(開眼しているが体が動かない状態)が認められる。

1 正
ナルコレプシーの診断には、睡眠時ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査が行われる。
<参考:睡眠時ポリグラフ検査、反復睡眠潜時検査>
・睡眠時ポリグラフ検査
睡眠時の脳波、眼球運動、心電図、筋電図などの生体活動を測定することにより睡眠状態を調べる検査
・反復睡眠潜時検査
2時間おきに5回眠れる機会を与え、睡眠開始時間を測定することにより日中の眠気を測定する検査

2 誤
アトモキセチン塩酸塩は、注意欠陥・多動性障害に適用されるが、ナルコレプシーに適用されない。

3 正
メチルフェニデートは、モダフィニルに比べ依存性が高いとされている。

4 正
REM睡眠関連症状である情動脱力発作の治療には、三環系抗うつ薬(クロミプラミンなど)が用いられる。

5 誤
ナルコレプシーの患者には、規則正しい生活をするよう推奨する必要がある。

問191
前問の処方2及び3の薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. γ−アミノ酪酸 GABAA受容体遮断
  2. ドパミン及びノルアドレナリンの再取り込み阻害
  3. ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込み阻害
  4. アデノシンA2A受容体遮断
  5. ニコチン性アセチルコリン受容体刺激

解答・解説

解答
2、3

解説
処方2(クロミプラミン塩酸塩)は、三環系抗うつ薬であり、アミントランスポーターを阻害することにより、ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込みを阻害する。
処方3(メチルフェニデート塩酸塩)は、精神刺激薬であり、ドパミン及びノルアドレナリンの再取り込みを阻害する。

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