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第102回薬剤師国家試験 問93

下図の実線はある純物質の化学ポテンシャルと温度の関係を示したグラフである。次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. このグラフの傾きはモルあたりのエントロピーを表す。
  2. 温度がT2のとき、二相が共存しており、自由度は2である。
  3. 温度がT3のとき、液相よりも気相の化学ポテンシャルが高いため、この純物質は自発的に気相に変化する。
  4. この純物質に不揮発性溶質を溶かしたとき、液相の化学ポテンシャルのグラフは図中のbの方向に移動する。
解答・解説

解答
1、4

解説
本設問のグラフを次のように読み取ることができる。
・T1より低温
低温状態であることから、純物質は固体で存在する。
T1で化学ポテンシャルが変化していることから、T1は融点(凝固点)であると考えられる。
・T1〜T2
融点(凝固点)より高温であることから、純物質は液体で存在する。
T2で化学ポテンシャルが変化していることから、T2は沸点であると考えられる。
・T2より高温
沸点より高温であることから、純物質は気体で存在する。

1 正
化学ポテンシャルμと温度Tの関係は以下の式で表すことができる。
μ=h-T・s
h:モル当たりのエンタルピー、s:モル当たりのエントロピー
よって、化学ポテンシャルμと温度Tの関係を示すグラフの傾きは、モルあたりのエントロピーを示す。

2 誤
自由度Fは以下の式より求めることができる。
F=C+2-P
C:成分の数、P:相の数
温度がT2(沸点)とき、液体と気体の二相が共存している。
よって、T2のときの自由度Fを以下のように求めることができる。
F=1+2-2=1
*純物質の場合:成分の数は1であることから、C=1である。

3 誤
化学ポテンシャルが低い方向に自発的に反応が進行する。温度がT3のとき、液相よりも気相の化学ポテンシャルが低いため、この純物質は自発的に気相に変化する。

4 正
純物質に不揮発性物質を溶解すると、凝固点降下(T1が左側に移動)及び沸点上昇(T2が右側に移動)が認められるため、液相の化学ポテンシャルのグラフは図中のbの方向に移動する。

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