第102回薬剤師国家試験 問117

マウスのある細胞において、タンパク質(ア)及び(イ)の産生は転写因子Xにより調節されている。両タンパク質の産生に対するその転写因子の機能を明らかにするため、以下のsiRNA(低分子干渉RNA)導入実験を行った。実験方法、原理と考察に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。

【実験】
転写因子Xに対するsiRNAを導入していない細胞A及び導入した細胞Bを24時間培養した。その後、細胞を破壊し、全タンパク質を回収して、それぞれ試料A及びBとした。同一タンパク質量の試料A及びBを用いてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、分離されたゲル中のタンパク質をニトロセルロース膜に転写した。次に、そのニトロセルロース膜においてタンパク質(ア)及び(イ)に対する特異的抗体を用いた抗原抗体反応を行った。その結果、図のようにそれぞれのタンパク質に特異的なバンド(黒色)を検出した。なお、実験に用いた。siRNAは特異的に転写因子XのmRNAをノックダウンすること、そのノックダウン効果は培養24時間の時点で最大となること、さらにタンパク質(ア)及び(イ)のニトロセルロース膜への転写効率に差がないことを確認している。

 転写因子Xの遺伝子が存在する染色体が、導入されたsiRNAにより破壊される。
 図は、サザンブロット法を用いて得られた結果である。
 転写因子Xは、タンパク質(ア)をコードする遺伝子の転写を抑制的に調節していると考察される。
 タンパク質(イ)の産生は、転写因子Xにより抑制的に調節されると考察される。
 転写因子XのsiRNAによるノックダウン効果は、細胞Bをさらに培養することにより減弱すると予想される。

 

 


動画解説


解説
siRNA(small interfering RNA)は、それと相補的な配列をもつmRNAと結合し、これを阻害・切断することによりタンパク質合成を抑制する。
本実験では、タンパク質(ア)及び(イ)の産生に対するその転写因子Xの機能を明らかにするために、転写因子Xに対するsiRNAを導入しない細胞A及び導入した細胞Bを24時間培養し、試料A及び試料Bを作成している。試料AにはsiRNAが導入されていないため転写因子Xの機能は保たれており、試料BにはsiRNAが導入されているため転写因子Xの機能は低下している。
本実験の結果として考えられることを以下に示す。

・タンパク質(ア):左の電気泳動
試料A(転写因子Xの機能あり):バンドの広がりが狭いことから、タンパク質合成量が少ない
試料B(転写因子Xの機能低下):バンドの広がりが広いことから、タンパク質合成量が多い
このことから、転写因子Xは、タンパク質()の生成を抑制していると考えられる。

・タンパク質(イ):右の電気泳動
試料A(転写因子Xの機能あり):バンドの広がりが広いことから、タンパク質合成量が多い
試料B(転写因子Xの機能低下):バンドの広がりが狭いことから、タンパク質合成量が少ない
このことから、転写因子Xは、タンパク質()の生成を促進していると考えられる。

1 誤
転写因子XのmRNAが、導入されたsiRNAにより破壊される(前記参照)。
2 誤
設問より、抗原抗体反応によりタンパク質を検出していることから、図は、ウエスタンブロット法を用いて得られた結果であると考えられる。なお、サザンブロット法とは、目的DNA断片に相補的なプローブを加えて、目的DNAを検出する方法である。
3 正
前記参照
4 誤
前記参照
5 正
問題文に「ノックダウン効果は培養24時間の時点で最大となる」と記載されていることから、細胞Bをさらに培養する(24時間以上培養する)ことにより転写因子XのsiRNAによるノックダウン効果は、減弱すると予想される。


解答
3、5

第102回 問118

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