25歳女性。急性骨髄性白血病に対して同種造血幹細胞移植術が施行された。ある時期から38℃以上の発熱が10日間以上続き、肺右下葉の気管支肺胞洗浄液の所見に基づいて侵襲性肺アスペルギルス症と診断された。なお、この診断がなされた時点での患者のクレアチニンクリアランス値は20.5 mL/minであった。
問304 (病態・薬物治療)
肺アスペルギルスに関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。
- 好中球減少症患者で発症しやすい。
- 温泉や24時間入浴機器の使用が感染源となりやすい。
- 空調機器等を介した院内感染に注意が必要である。
- グラム陰性桿菌の感染症である。
- 血中(1,3)-β-D-グルカン濃度が低下する。
問305 (実務)
この患者に対して、イトラコナゾール注射剤は使用できないと病棟薬剤師は判断した。その理由として、正しいのはどれか。1つ選べ。なお、イトラコナゾール注射剤には、1%イトラコナゾールの他に添加剤としてヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、プロピレングリコール、塩酸を含む。
- イトラコナゾールがアスペルギルス症に対して無効であるため
- イトラコナゾールが腎排泄型薬物であるため
- イトラコナゾールが肺に移行しないため
- 添加物が腎機能を低下させるため
- 添加物が造血幹細胞の増殖を抑制するため
- 添加物に催奇形性があるため