32歳女性。喫煙歴5年、禁煙を試みたいと薬局を訪れた。現在、不眠症で、ゾピクロン錠を不眠時に服用している。禁煙のためにニコチンガム、ニコチンパッチ、バレニクリン酒石酸塩錠のいずれかを使用するか悩んでいるとのことだった。
問246 (実務)
薬剤師が来局者に説明する内容として、適切でないのはどれか。2つ選べ。
- ニコチンパッチは、高用量から開始し、段階的に減らします。
- ニコチンパッチは、妊婦にも使用できます。
- ニコチンガムは、コーヒーや炭酸飲料を飲んだあとは吸収がよくなります。
- ニコチンガムは、むかつきやのどへの刺激が起こることがあります。
- バレニクリン酒石酸塩錠は、喫煙に代わってニコチンを補充する薬剤ではありません。
解答・解説
解答
2、3
解説
1 適切である
ニコチンパッチは、高用量から開始し、段階的に減量する。
【医療用ニコチンパッチの使用方法】
通常、最初の4週間はニコチネルTTS30から貼付し、次の2週間はニコチネルTTS20を貼付し、最後の2週間はニコチネル TTS10を貼付する。なお、最初の4週間に減量の必要が生じた場合は、ニコチネルTTS20を貼付する。
2 適切でない
ニコチンパッチは、妊婦または妊娠している可能性のある婦人に投与禁忌である。
3 適切でない
ニコチンは弱塩基性薬物であり、酸性条件下において分子形分率が低下するため、吸収性が低下する。コーヒーや炭酸飲料を飲んだあと口腔内は酸性に傾くため、ニコチンの吸収性は低下する。
4 適切である
ニコチンを摂取することにより、むかつきやのどへの刺激が起こることがある。
5 適切である
バレニクリン酒石酸塩錠には、ニコチンが含まれていないため、喫煙に代わってニコチンを補充する薬剤ではない。なお、バレニクリンは、α4β2ニコチン受容体部分刺激薬であり、弱いニコチン受容体刺激作用を有するため、禁煙に伴う離脱症状やタバコに対する切望感を軽減する。
問247 (薬理)
この患者に関連する薬物依存・耐性の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ゾピクロンとニコチンは、いずれも精神的依存を起こすが、身体的依存は生じない。
- ゾピクロンとニコチンは、いずれも耐性を生じない。
- ニコチンは、中脳辺縁ドパミン神経系を活性化する。
- バレニクリンは、ニコチン性アセチルコリン受容体の部分刺激薬であり、ニコチン依存症の喫煙者の禁煙による退薬症候を軽減する。
解答・解説
解答
3、4
解説
1 誤
ゾピクロン及びニコチンは、いずれも連用することにより薬物依存(精神的依存、身体的依存)及び耐性を生じることがある。
2 誤
解説1参照
3 正
ニコチンは、ニコチン性アセチルコリン受容体を刺激し、ドパミンの遊離を促進することにより中脳辺縁ドパミン神経系を活性化する。
4 正
問246 選択肢5解説参照
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 第100回 問246〜247 […]