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神経管閉鎖障害(Neural Tube Defects, NTDs)

神経管閉鎖障害(NTDs)は、胎児の脳や脊髄が正常に発達しないことによって生じる先天性の異常の総称である。これは、妊娠初期(妊娠3~4週頃)に、胎児の神経管が完全に閉じないことが原因で起こる。

神経管は、胎児の中枢神経系(脳と脊髄)を形成するための基盤となる組織で、通常は妊娠初期に閉じていく。しかし、この過程が何らかの要因で正常に進まない場合、神経管閉鎖障害が発生する。

主な種類

  1. 二分脊椎(Spina Bifida)
    • 脊髄やその周辺の組織が完全に閉じず、脊髄が露出する状態。
  2. 無脳症(Anencephaly)
    • 頭蓋骨と脳が完全に形成されず、脳が露出している状態。
  3. 脳瘤(Encephalocele)
    • 脳組織が頭蓋骨の外に飛び出している状態。

原因

神経管閉鎖障害は、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合って起こる。

1. 葉酸の不足

  • 葉酸は、DNAの合成や細胞分裂に必要な栄養素で、胎児の神経管形成に重要な役割を果たす。
  • 妊娠初期の葉酸不足がNTDsのリスクを高めるとされている。

    2. 環境要因

    • 妊娠中の喫煙、飲酒、肥満、糖尿病、特定の薬剤(抗てんかん薬など)の使用。

    3. その他

    • 母体の栄養状態や健康状態。
    • 環境毒素への暴露。

      予防

      1. 葉酸の摂取
        • 妊娠前および妊娠初期(少なくとも妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月)の間に、葉酸400µg/日をサプリメントや食事から摂取することが推奨されている。
      2. 健康的な生活習慣
        • 妊娠前からの適切な体重管理や、喫煙・飲酒の回避。
      3. 適切な薬剤の使用
        • 妊娠中に使用する薬剤については、必ず医師に相談する。

      治療

      神経管閉鎖障害の治療は、種類や重症度によって異なる。

      1. 外科手術
        • 生後早期に手術を行い、脊髄や脳を保護する。
        • 二分脊椎の場合、胎児手術(出生前の手術)が選択されることもある。
      2. リハビリテーション
        • 運動機能や排尿・排便機能の改善のためのリハビリが行われる。
      3. 合併症への対処
        • 感染症や水頭症(脳に過剰な液体がたまる状態)への対応。

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