薬剤師国家試験出題項目

神経症治療薬

1 神経症

 神経症とは、器質的には異常はないが、精神的や身体的な症状を自覚することであり、その原因には、心理的因子や性格が関与している。神経症には、広場恐怖症、特定の恐怖症、全般性不安障害、パニック障害、社交不安障害、強迫性障害などがある。神経症は心身症と異なる。神経症は、心因による精神障害により身体症状(動機、発汗)が生じるが、心身症では、身体疾患(消化性潰瘍など)の発病や増悪に心因が寄与する。

 ●広場恐怖症
 不安やパニックに襲われたとき、すぐに逃げられない状況や場所に不安を抱く状態のことである。多くの場合、発作時に助けを求められない状況を避ける。
広場恐怖症では、パニック障害(様々な身体症状を伴う急性不安発作)を伴う場合がある。

 ●全般性不安障害
 特定の対象はなく、漠然とした不安がある状態のことである。過剰な不安(コントロールできないほどの不安など)、運動性緊張(肩こり、緊張性頭痛、振戦など)、自律神経機能亢進(発汗、動機、頻脈など)が数週間〜数ヶ月にわたり毎日出現する。

社交不安障害
人前で話すなど、他人の注目を浴びたり恥ずかしい思いをする状況で、緊張による動機、震え、発汗などの身体症状や強い苦痛を感じる状態のことである。不安になる状況を回避するようになり、仕事や学業に支障をきたす。

強迫性障害
 不合理であるという考えが頭から離れず、不安を打ち消すための行動を繰り返しおこなってしまう状態のことである。
<強迫性障害の例>
・何度も手を洗う
・鍵が閉まっているが何度も確かめる
・衣服を決められた順番で着用する  など

<神経症に対する薬物療法>
 神経症の治療には、抗不安薬(ベンゾジアゼピン系薬、タンドスピロン)、抗うつ薬(三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI))や緊張による振戦を抑えるためにβ遮断薬が用いられることがある。

2 神経症治療薬

1)ベンゾジアゼピン系抗不安薬

・GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位に結合し、GABA系神経の機能を亢進させる。
・大脳辺縁系や大脳皮質の神経活動の抑制により、抗不安作用を示す。
・強迫性障害、解離性障害には有効性が低い。
・短時間型のものは耐性や依存を生じやすいため、使用期間を最小限にとどめ、減量する際には長時間、超長時間型もののに置き換える。
・長時間型、超長時間型のものは持ち越し効果が現れることがある。
・SSRIの効果が現れるまでベンゾジアゼピン系薬を併用し、SSRIの効果が効果発現とともにベンゾジアゼピン系薬を漸減する。

2)タンドスピロン

・5–HT1A受容体刺激によることにより抗不安作用、心身症改善作用を示す。
・神経終末のセロトニン5–HT2受容体密度低下により抗うつ作用を示す。
・ベンゾジアゼピン系薬と異なり、筋弛緩作用、催眠作用、抗痙攣作用が少なく、依存性も現れにくい。

3)選択的セロトニン再取り込み阻害薬:SSRI

●気分障害治療薬 参照

<参考:5–HT1A受容体作動薬とSSRIの抗不安作用>
 扁桃体や内側前頭前野において、GABA神経に存在する5–HT1A受容体が刺激されると、GABA神経への神経伝達が促進され、抗不安作用が現れると考えられている。また、5–HT1A受容体作用薬やSSRIを長期間投与すると、セロトニン神経からのセロトニンの放出が促進され、GABA神経を興奮させることにより抗不安作用が現れると考えられている。

◇関連問題◇
第103回問33

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