薬剤師国家試験出題項目

相変化を伴う熱の移動

1 相変化(相転移)

相変化とは、物質が一つの相から他の相へ変わる現象のことであり、相が変化する過程ではエネルギーの出入りが伴う。

<固体から液体への相変化>
固体から液体に変化する現象を融解といい、その温度を融点という。

<液体から気体への相変化>
液体から気体に変化する現象を蒸発という。また、外気圧と蒸気圧が等しくなる温度において、液体の内部から気体が継続的に生成する現象を沸騰といい、その温度を沸点という。

<固体から気体への相変化>
固体から気体に変化する現象を昇華といい、その温度を昇華点という。

融解、蒸発、昇華は、エネルギーを吸収する吸熱過程であり、その逆の現象については、エネルギーを放出する発熱過程である。


 2 安定な相

 定圧条件において、純物質がどの状態で安定であるかについては、絶対温度に対してモルギブスエネルギーをプロットしたものより確認することができる。


3 純物質(一成分系)の状態図

<水の状態図>

・AO曲線(融解曲線):固体と液体が平衡にある圧力及び温度を示す曲線
・BO曲線(昇華曲線):固体と気体が平衡にある圧力及び温度を示す曲線
・CO曲線(蒸気圧曲線、蒸発曲線):液体と気体が平衡にある圧力及び温度を示す曲線
・O点(三重点):固体、液体、気体の三相が存在する点

<二酸化炭素(水以外の物質)の状態図>

<純物質の状態図についてのまとめ>
・固体と液体、固体と気体、液体と気体はそれぞれ、融解曲線、昇華曲線、蒸気圧(蒸発)曲線により仕切られている。
・O点(三重点)では、固体、液体、気体の三相が存在する。三重点は、物質ごとで決められた値(水においては、圧力:0.611 kPa、温度:273.16 K)を示す。
・CO曲線(蒸気圧曲線、蒸発曲線)は、C点(臨界点)で消滅している。C点は臨界点といわれる。
・水の状態図では、融解曲線が負の傾きを示しているが、二酸化炭素の状態図では、融解曲線が正の傾きを示す。

1)圧力変化に伴う状態変化
<水の場合>
固体(氷)と液体(水)の平衡状態を点Xとし、そこに圧力を加えると点Xは上に移行する。このことから、固体(氷)と液体(水)の平衡状態に圧力を加えると、固体(氷)と液体(水)の平衡状態にあるものは、液体(水)に変化する。

<二酸化炭素(水以外の物質)の場合>
固体と液体の平衡状態を点Yとし、そこに圧力を加えると点Yは上に移行する。このことから、固体と液体の平衡状態に圧力を加えると、固体になる。


熱力学と相転移

相転移における温度の微小変化(dT)と圧力の微小変化(dp)の関係については、以下の式により表すことができ、この式をクラペイロンの式という。

ΔtrsH:状態変化に伴うエンタルピー変化量
T:相転移温度
ΔtrsV:状態変化に伴う体積変化

この式が理想気体に成立するものとして、気体の状態方程式を用いて、変換したものが以下の式であり、この式をクラウジウス−クラペイロンの式という。

ΔvapH:蒸発に伴うエントロピー変化量(モル蒸発エンタルピー)

クラウジウス−クラペイロンの式を積分すると、下記の式が得られる。

この式より、絶対温度の逆数(1/T)に対して圧力の対数値(lnp)をでプロットすると、傾きよりモル蒸発エンタルピーが求まる。

◇関連問題◇
第98回 問93
第100回 問201
第102回 問93 (選択肢3)

◇テキスト◇
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