薬剤師国家試験出題項目

界面の性質、界面活性剤

Section1 界面の性質、界面活性剤

1 界面

界面とは、二つの相が存在するときの境界面のことであり、接する面の種類により、気−液界面、気−固界面、液−液界面、固−液界面などがある。なお、一方が気相の場合には、その界面を表面とよぶことがある。界面では、付着、吸着、ぬれなどさまざまな反応が認められる。これは界面が内部よりも過剰なエネルギー(界面自由エネルギー)を有しているためである。

2 表面張力

気体に接する固体や液体の相内部の分子は、多くの分子間相互作用(主に引力)により安定な状態を保っている。一方、表面に存在する分子は、相内部にある分子よりも少ない分子間相互作用が働いているため、内部にある分子よりも不安定な状態にある。

固体や液体の表面の分子を内部に取り込み表面の面積を小さくすることにより安定な状態をたもとうとする力が働く。この力を表面張力という。表面張力の強さは、固体>液体>気体の順となっており、分子間相互作用の強い物質ほど強くなる傾向にある。

3 表面張力の測定法

表面張力の測定法には、毛管上昇法、円環法、滴重法などがある。

 3.1 毛管上昇法

水面に対して垂直に立てた毛管中の液体が上昇するとき、その柱の高さより表面張力を求める方法

3.2 円環法

白金製リングを液面から引き離すときに要する力Fより表面張力を求める方法

3.3 滴重法

垂直に置かれた半径rの管の下端より落下する液滴の質量Wより表面張力を求める方法

4 吸着と表面張力

純溶媒と溶液では表面張力が異なる値を示す。これは、溶質が溶液の表面に吸着することと相関性がある。溶質の吸着量Γは、次式で表される。

ただし、Rは気体定数、Tは絶対温度、dγ/dcは表面張力変化量を表す。上記の式より、表面張力の変化量と表面吸着量は逆の関係を示すといえる。

例:塩化ナトリウム溶液
塩化ナトリウムを水の中に溶解すると、ナトリウムイオン(Na)と塩素イオン(Cl)に解離する。Na及びClは電荷を帯びていることから、水分子とイオン−双極子相互作用により強く水和する。このためNa及びClは表面よりも溶液内部に入ろうとする力が働き、表面のNa及びClの濃度は溶液内部よりも低くなる。その結果、塩化ナトリウム溶液の表面張力は純水よりも大きくなる。この現象を負の吸着といい、負の吸着を引き起こす物質を界面不活性化物質という。

例:親水基と疎水基をもつ物質を溶かした場合
親水基と疎水基を持つ物質として、アルコールや脂肪酸、ドデシル硫酸ナトリウムがある。

親水基と疎水基を有する物質を水に溶かすと、疎水基は水中に存在するより表面に存在する方が安定であることから、表面における溶質の濃度が高くなり、表面張力の低下が起こる。

この現象を正の吸着といい、正の吸着を起こす物質を界面活性剤という。

5 固体表面のぬれ

ぬれとは、固相に接触していた気相が液相に置き換わる現象のことである。固相表面と液滴が接する面では下記の式が成立する。

接触角θは、固体表面のぬれやすさの目安として用いられ、θが小さい固体表面ほどぬれやすい。ぬれには、拡張ぬれ、浸漬ぬれ、付着ぬれの3種類がある。

6 界面活性剤

界面活性剤は、分子内に親水性部分と疎水性部分を有しており、界面に吸着することにより少量で界面張力を著しく低下させることができる。

<参考:HLB(hydrophile-lipophile balance)>
HLBは、界面活性剤の親水性と疎水性のバランスを表す値である。一般にHLB7以上のものは水になじみやすく、HLBが7以下のものは水になじみにくい。アルキル鎖が大きくなるにつれて、HLBの値は小さくなる。また、界面活性剤A、Bを混合した場合、混合物のHLBABは以下のように計算することができる。

ただし、HLBA:界面活性剤AのHLB、HLBB:界面活性剤BのHLB、WA:Aの質量、WB:Bの質量とする。

7 ミセル

7.1 臨界ミセル濃度

界面活性剤を水に溶解させると、希薄溶液では、疎水基を気相側、親水基を水相側にして表面に集まるが、ある濃度以上になると溶液中の界面活性剤は親水基を外側に疎水基を内側にした会合体(ミセル)を形成する。ミセル形成が始まる濃度を臨界ミセル濃度という。

臨界ミセル濃度以上でも単分子状態で溶解したものも存在する。

<参考:界面活性剤溶液の濃度と物理的性質>
①:表面張力
水に界面活性剤を添加すると、希薄溶液では濃度の増加に伴って、表面吸着量が増加するため、表面張力は低下するが、臨界ミセル濃度以上になると、濃度の増加しても表面吸着量はほとんど変化しないため、表面張力はほとんど変化しない。
②:可溶化
可溶化とは、水に溶解しない物質を透明かつ均一に溶解させることであり、界面活性剤を添加し、ミセルの濃度が増大すると可溶化度も増加する。
③:洗浄力
洗浄力とは、水に馴染みにくい疎水性物質を、洗い流す力のことであり、水中にモノマーとして存在している界面活性剤が増えると洗浄力も増大する。
④:当量伝導度
単位質量当たりの電気伝導性を示す値であり、臨界ミセル濃度まで徐々に低下し、臨界ミセル濃度以上で急激に低下する。

7.2 クラフト点

イオン性界面活性剤の水に対する溶解度は、ある温度以上で急激に増大する。このイオン性界面活性剤の溶解度が急激に増加する温度をクラフト点という。クラフト点が認められる理由として、クラフト点以下では通常の水に対する溶解度であるが、クラフト点以上になるとミセルを形成し溶解度が急激に増大するためである。

7.3 曇点

非イオン性界面活性剤は、ある温度以上で溶解度が減少し、白濁することがある。この非イオン性界面活性剤の溶解度が低下し白濁する温度を曇点という。曇点が認められる理由として、曇点以上では非イオン性界面活性剤と水の間で形成されていた水素結合が切断され、非イオン性界面活性剤の水和度が低下するためである。

◇関連問題◇
第97回問175、第98回問52、第99回問94、第99回問175、第100回問174、104回問51、第105回問50

 

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