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状態関数(State Function)

状態関数とは、物質の現在の状態(温度、圧力、組成など)によってのみ決まり、経路に依存しない関数である。 これは熱力学における基本的な概念の一つである。

1. 状態関数の特徴

  • 初めの状態と終わりの状態のみで決まり、経路には依存しない。
  • エネルギー、エンタルピー、エントロピーなどの熱力学的量が該当する。

例えば、ある物質がAの状態からBの状態に変化したとき、状態関数の変化量

と表される。このとき、AからBに至る経路がどのようであっても、変化量は一定である。

2. 主な状態関数

  • 内部エネルギーU
    系の総エネルギーを示す量であり、熱エネルギーや運動エネルギーを含む。
  • エンタルピーH
    熱エネルギーを表す量であり、定圧条件下での熱の出入りと関連する。
  • エントロピーS
    系の乱雑さ(無秩序さ)を示す指標。
    自然界ではエントロピーは増大する方向に進む(熱力学第二法則)。
  • ギブズ自由エネルギーG
    定温・定圧条件下での系の自由エネルギーを示す。
    自発的な反応が起こるかどうかの指標となる(ΔG<0なら自発的に反応が進行する)。

3. 状態関数と経路関数の違い

状態関数 経路関数
初めと終わりの状態のみで決まる どの経路を通るかによって決まる
例:内部エネルギー、エンタルピー、エントロピー 例:仕事、熱
  • 熱q:加えられる熱量は経路に依存するため、状態関数ではない。
  • 仕事w:圧力や体積の変化に依存し、経路によって異なるため、状態関数ではない。
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