薬剤師国家試験出題項目

熱力学第二法則、第三法則 

1 熱力学第二法則

熱力学第二法則は、「反応の方向性に関わる法則」とされており、以下のように様々な表現で示されている。
・熱を完全に仕事に変換することはできない。
・孤立系において、不可逆反応では、エントロピーは増加する傾向にある。
上記のように、熱力学第二法則は、熱と仕事を用いた表現とエントロピーを用いた表現などがある。

1) 熱効率と熱力学第二法則
 熱効率ηとは、熱機関を用いた循環過程において系が高熱源から吸収した熱と系がなした正味の仕事との比を表したものであり、下記の式で表される。

また、熱機関のモデルを下記のように示した場合、熱効率ηは以下のように示すことができる。

<熱機関からみた熱力学第二法則>
熱機関は高熱源(TH)の外界から熱(qH)を受け取り、仕事を行い、利用できなかった熱(qL)を低熱源(TL)に放出する。高熱源を無限大に高い温度にすることができないこと、低熱源を絶対0度に保つことは理論的に難しいことから、熱効率は100%以下の値になる。このことから、熱を完全に仕事に変換することはできないことがわかる。これが熱と仕事の関係からみた「熱力学第二法則」である。
<参考:熱効率の計算の例>
高熱源の温度を400K(ケルビン)、低熱源の温度を200K(ケルビン)とすると、熱効率を以下のように求めることができる。

2) エントロピーと熱力学第二法則
「孤立系(外界とやり取りがない状態)では、反応は乱雑さ(エントロピー)が増大する方向に進行する。」という事実があらゆる物理的現象より認められている。この物理的現象を表したのが、熱力学第二法則であり、「孤立系(宇宙)のエントロピーは不可逆過程では常に増大し、可逆過程では変化しない。」とされる。


2 熱力学第三法則

熱力学第三法則は、「すべての完全結晶のエントロピーは絶対ゼロ度では、0である。」と表される。この熱力学第三法則では、物質(完全結晶:不純物や欠損のない結晶)は、絶対温度0Kでは、エントロピーが0となり、乱雑さが失われることを示している。
熱力学第三法則によると、物質は温度の低下に伴って気体→液体→固体へと変化し、物質中の原子や分子の動きが小さくなり、最終的(絶対温度0Kにおいて)には、原子や分子の動きが失われると考えることができる。

◇関連問題◇
第98回問91

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