薬剤師国家試験出題項目

溶解度、溶解速度

Section3 溶解度、溶解速度

溶解平衡とは、固体とその飽和溶液が共存し、固相と液相が平衡状態にあることである。

このときの溶液の濃度を飽和濃度(溶解度)という。

1 溶解度

溶液中に固体が存在するときの濃度を飽和濃度(溶解度)という。溶解度は固相と液相が平衡状態になるときの濃度であることから、固相と溶液の化学ポテンシャルが等しくなったときの濃度である。このことから、熱力学的に溶解度を求めると以下の式が得られる。

ただし、x:溶解度(モル分率)、ΔH:溶解熱又は融解熱、T:絶対温度、Tm:融点、R:気体定数とする。
上記の式より、溶解度の対数(lnx)と絶対温度の逆数(1/T)のプロットは下図のようになる。

2 拡散現象

拡散現象とは、物質が濃度の高い方から低い方へ移行していく現象のことである。拡散のしやすさを表す値には、拡散係数Dがある。

ただし、k:ボルツマン定数、T:絶対温度、η:溶媒の粘度、r:拡散粒子の半径とする。

3 溶解速度

3.1 ノイエス−ホイットニー式

固形製剤は、水や消化管液中で崩壊後、溶解する。薬物が溶解する速度を実験的に求めたものとして、ノイエス−ホイットニー式がある。

ただし、k:みかけの溶解速度定数、S:表面積、Cs:溶解度、C:溶液中の濃度とする。 上記の式を初期条件(t=0、C=0)で積分すると、下記に示す式が得られる。

表面積Sが一定であるとした場合、下記に示すプロットが得られる。

また、溶解度Csに対して溶液の濃度Cが非常に小さい場合(シンク条件:Cs≫C)、下記に示す式が得られる。

この式を変換すると、「C=k・S・Cs・t 」となることから、溶液の濃度は、時間に対して、溶解速度定数、表面積、溶解度に比例して変化することから、薬物の表面積が一定である場合、下記に示すプロットが得られる。

3.2 ネルンスト−ノイエスホイットニー式

 薬物結晶表面の近傍に飽和溶液層、その外側に拡散層が存在し、薬物がフィックの第一法則に従って拡散すると仮定して導かれた式をネルンスト−ノイエスホイットニー式という。

ネルンスト−ノイエスホイットニー式では、溶解速度定数は下記の式で表される。

溶解速度定数を増大させるための方法として

①:攪拌により拡散層の厚さを低下させる
②:温度を上昇させる(温度の上昇により拡散定数が大きくなる)
③:溶媒の粘度を低下させる(粘度の低下により拡散定数が大きくなる)
④:溶液の溶媒量を少なくする
などがある。

4 粉体の溶解速度 

すべての粒子径が同一(粒度分布:単分散)の球形粒子で、粒子が球形を保ちながら溶解し、さらにシンク条件が成立する場合、その粉体粒子の溶解現象は、Hixson–Crowellの式(下式)に従う。

ただし、M0は初期の粒子の質量、Mはt時間後の粒子の質量、kは溶解速度定数である。

◇関連問題◇
第97回問174、第99回問174、第100回問173

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