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注意欠如・多動症(ADHD)治療薬

覚えること

  • ADHDの主な症状は、不注意・多動性・衝動性である。
  • ADHDでは、前頭前皮質におけるドパミン(DA)・ノルアドレナリン(NA)神経系の機能が重要である。
  • 治療薬は中枢刺激薬非中枢刺激薬に分けて整理する。
  • メチルフェニデート:DA・NAの再取り込みを阻害する。
  • リスデキサンフェタミン:DA・NAの再取り込み阻害+遊離促進。
  • アトモキセチン:NAの再取り込みを選択的に阻害する。
  • グアンファシン:α2Aアドレナリン受容体を刺激する。
  • 中枢刺激薬は効果発現が比較的速いが、依存性に注意する。
  • 非中枢刺激薬は効果発現に時間がかかるが、中枢刺激薬に比べ依存性が現れにくい。

ADHDとは

注意欠如・多動症(ADHD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、
不注意、多動性、衝動性を主な特徴とする発達障害である。

主な症状

  • 不注意:集中が続かない、忘れ物が多い、ミスが多いなど
  • 多動性:じっとしていることが難しい、過剰に動き回るなど
  • 衝動性:順番を待てない、考える前に行動するなど

ADHDの病態には、前頭前皮質におけるドパミンやノルアドレナリン神経系の機能低下などが関与すると考えられている。

しもっち
ADHDは「落ち着かない=多動」だけで覚えないようにしよう。
不注意・多動性・衝動性
この3つが基本です。
症例問題では、「忘れ物が多い」「集中できない」「授業中に離席する」「順番を待てない」などの情報からADHDを判断できるようにしておこう

ADHD治療薬の分類

ADHD治療薬は大きく、中枢刺激薬非中枢刺激薬に分けられる。

中枢刺激薬

  • メチルフェニデート
  • リスデキサンフェタミン

中枢刺激薬はドパミン・ノルアドレナリン神経伝達を増強し、比較的速やかに効果を示す。一方で、薬物依存に注意する必要がある。

非中枢刺激薬

  • アトモキセチン
  • グアンファシン

非中枢刺激薬は中枢刺激薬と比較して依存性が現れにくいことが特徴である。一方、効果発現にはある程度の時間を要する。

しもっち
まず薬を「刺激薬か、非刺激薬か」に分けよう。
刺激薬
→ メチルフェニデート
→ リスデキサンフェタミン

非刺激薬
→ アトモキセチン
→ グアンファシン
この4剤をいきなり横並びで覚えるより、2対2にするとかなり整理しやすいよ。

メチルフェニデート

メチルフェニデートは中枢刺激薬である。

⚫️作用機序
ドパミン及びノルアドレナリンのトランスポーターに作用して、DA・NAの再取り込みを阻害する。
その結果、シナプス間隙のDA・NA濃度が上昇し、神経伝達が増強される。DA・NA再取り込み阻害→シナプス間隙のDA・NA↑→神経伝達↑

  • 効果発現が比較的速い
  • ADHDには徐放錠が用いられる。
  • 徐放錠にはOROS(浸透圧を利用した放出制御システム)が利用されている。
  • 中枢刺激作用を有するため依存性に注意する。

⚫️副作用

  • 食欲減退
  • 不眠
  • 体重減少
  • 頭痛
  • 動悸
しもっち
メチルフェニデートは、「DA・NAを増やす」ところまでつなげよう。
再取り込みを止める
→ シナプス間隙からDA・NAが回収されにくくなる
DA・NA濃度が上がる
「再取り込み阻害なのに神経伝達が低下する」とした選択肢は切れるよ。

リスデキサンフェタミン

リスデキサンフェタミンは中枢刺激薬であり、d-アンフェタミンにL-リシンを共有結合させた薬物である。

⚫️作用機序

  • DA・NAの再取り込みを阻害
  • DA・NAの遊離を促進

この2つの作用によって、ドパミン及びノルアドレナリン神経伝達を増強する。

  • 中枢刺激薬である。
  • 効果発現が比較的速い。
  • d-アンフェタミンにL-リシンを結合した構造を有する。
しもっち
メチルフェニデートとリスデキサンフェタミンは、どちらもDA・NAを増やす中枢刺激薬です。
ただし作用を比べると、
メチルフェニデート → 再取り込み阻害
リスデキサンフェタミン → 再取り込み阻害+遊離促進
ここを区別できるようにしよう。

アトモキセチン

アトモキセチンは非中枢刺激薬である。

⚫️作用機序

ノルアドレナリントランスポーターに作用して、NAの再取り込みを選択的に阻害する。その結果、シナプス間隙のNA濃度が上昇し、ノルアドレナリン神経伝達が増強される。

  • 非中枢刺激薬である。
  • 中枢刺激薬に比べ依存性が現れにくい。
  • 効果発現に時間がかかる。
しもっち
アトモキセチンはメチルフェニデートと混同しやすいよ。
メチルフェニデート → DA+NA
アトモキセチン → NA
「どのモノアミンの再取り込みを阻害する?」まで見るようにしよう。

グアンファシン

グアンファシンは非中枢刺激薬であり、他の3剤とは作用機序が大きく異なる。

⚫️作用機序

前頭前皮質の錐体細胞の後シナプスに存在するα2Aアドレナリン受容体を刺激し、シグナル伝達を促進する。

  • α2Aアドレナリン受容体刺激薬
  • 非中枢刺激薬である。
  • 中枢刺激薬に比べ依存性が現れにくい。
  • 効果発現に時間がかかる。
しもっち
グアンファシンは「α2A受容体を遮断する」ではなく「刺激する」です。
国試では、刺激と遮断を逆にするだけで誤選択肢を作れるので注意しよう。

4つの治療薬を整理しよう

  • メチルフェニデート → DA・NA再取り込み阻害
  • リスデキサンフェタミン → DA・NA再取り込み阻害+遊離促進
  • アトモキセチン → NA再取り込み阻害
  • グアンファシン → α2A受容体刺激
しもっち
4剤を「何を増やしている?で整理すると覚えやすいよ。
メチルフェニデート → DA・NA
リスデキサンフェタミン → DA・NA
アトモキセチン → NA
グアンファシン → α2A受容体を直接刺激
グアンファシンだけ作用機序のタイプが違うことに注目!

国家試験での狙い目

ADHDでは、症例から疾患を判断したうえで、
薬物名と作用機序を対応させる問題が重要である。

症状からADHDを見抜く

  • 授業中に集中できない → 不注意
  • 席を離れて動き回る → 多動性
  • 順番を待つことができない → 衝動性

薬物名から作用機序を判断する

  • メチルフェニデート → DA・NA再取り込み阻害
  • リスデキサンフェタミン → DA・NA再取り込み阻害+遊離促進
  • アトモキセチン → NA再取り込み阻害
  • グアンファシン → α2A受容体刺激

中枢刺激薬かどうかを見る

メチルフェニデート・リスデキサンフェタミンは中枢刺激薬であるため、依存性に注意する。

一方、アトモキセチン・グアンファシンは非中枢刺激薬であり、中枢刺激薬と比較して依存性が現れにくい。

しもっち
ADHDの問題で薬が出てきたら、
① 中枢刺激薬?非中枢刺激薬?
② DA・NAのどちらに作用する?
③ 再取り込み阻害?遊離促進?受容体刺激?
この順番で考えると選択肢を整理しやすいよ。

1問1答で確認しよう

Q1.ADHDの3つの主症状は?
不注意・多動性・衝動性。

Q2.メチルフェニデートが再取り込みを阻害する神経伝達物質は?
ドパミン・ノルアドレナリン。

Q3.リスデキサンフェタミンはDA・NAの再取り込み阻害以外にどのような作用を示す?
DA・NAの遊離促進。

Q4.アトモキセチンが再取り込みを阻害する神経伝達物質は?
ノルアドレナリン。

Q5.グアンファシンが刺激する受容体は?
α2Aアドレナリン受容体。

Q6.メチルフェニデートは中枢刺激薬・非中枢刺激薬のどちら?
中枢刺激薬。

Q7.アトモキセチンは中枢刺激薬・非中枢刺激薬のどちら?
非中枢刺激薬。

Q8.効果発現が比較的速いのは中枢刺激薬・非中枢刺激薬のどちら?
中枢刺激薬。

Q9.依存性が比較的現れにくいのは?
非中枢刺激薬。

Q10.ADHDに使用するメチルフェニデート製剤は通常錠・徐放錠のどちら?
徐放錠。

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