薬剤師国家試験出題項目

抗炎症薬

抗炎症薬

1 炎症

 炎症とは、組織損傷などの生体に異常が生じた際に、損傷を受けた組織が示す局所性の生体防御反応のことであり、血管拡張・毛細血管透過性亢進、白血球の浸潤、遊走などによる腫脹、発赤、疼痛が認められることがある。
これらの反応が過剰な場合には、ステロイド性抗炎症薬や非ステロイド性抗炎症薬が用いられることがある。

2 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とは、ステロイド性抗炎症薬以外の抗炎症作用を示す薬物の総称のことであり、化学構造により以下のように分類される。

1)作用機序・薬理作用

 NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)に結合してその作用を阻害することによりアラキドン酸からプロスタグランジン類(PGE2)の生成を抑制し、鎮痛・消炎作用を示す。

シクロオキシゲナーゼのアイソザイム(COX–1、COX–2)
 COXにはCOX–1とCOX–2というアイソザイムがあり、COX–1は全身組織に分布し、COX–2は主に炎症部位に発現する。COX–1を阻害すると胃腸障害、腎障害、出血傾向が現れ、COX–2を阻害すると抗炎症作用、鎮痛作用が現れる。このことから、選択的にCOX–2を阻害する薬(エトドラク、メロキシカム、セレコキシブなど)は、非選択的COX阻害薬に比べ、胃腸障害、腎障害、出血傾向が現れにくい。

2)副作用

 NSAIDsはCOXを阻害し、プロスタグランジン類、トロンボキサンA2の合成を阻害するため、様々な副作用を示す。

・PGE2産生を抑制し、胃酸分泌を促進するとともに胃血流量を減少させるため、消化性潰瘍、胃腸出血を起こすことがある。
・PGE2 、PGI2産生を抑制し、腎血流量、肝血流量を低下させるため、腎障害、肝障害を起こすことがある。
・トロンボキサンA2産生を抑制し、血小板凝集を抑制するため、出血傾向が認められることがある。
・シクロオキシゲナーゼを阻害することにより、アラキドン酸からロイコトリエンの産生が亢進し、ロイコトリエンによる喘息様症状(アスピリン喘息)を起こすことがある。

3)相互作用

・酸性抗炎症薬は、タンパク結合率が高いことから、タンパク結合率の高い薬物(ワルファリン、グリベンクラミドなど)と併用すると、タンパク置換が起こり、副作用が現れやすくなる。
<NSAIDsとワルファリンの併用>
ワルファリンの作用が増強し、出血傾向が現れることがある
<NSAIDsとグリベンクラミドの併用>
グリベンクラミドの作用が増強し、低血糖が現れることがある

・ニューキノロン系抗菌薬と併用することにより、中枢性の痙れんが現れることがある。
・腎のPG合成抑制により腎血流が低下するため、併用薬(炭酸リチウム、メトトレキサートなど)の腎排泄量が低下し、血中濃度が上昇する。

●補足
・アスピリンは、シクロオキシゲナーゼをアセチル化し、不可逆的に酵素活性を阻害するため、低用量で抗血小板薬として用いられる。
・サリチル酸系薬は、ウイルス感染により発熱した小児に使用すると、ライ症候群といわれる脳症を引き起こすことがある。
・インドメタシンは、COX–1阻害作用が強く、胃腸障害を誘発しやすい。
・スリンダクは、NSAIDsの中でも腎障害が少ない。
・ジクロフェナクは、血液脳関門を通過しにくいため、インドメタシンに比べ、中枢性副作用(めまいなど)を起こしにくい。
・セレコキシブは、COX–2を選択的に阻害するため、胃腸障害や出血傾向などの副作用を起こしにくいが、心筋梗塞、脳卒中などの心血管系血栓塞栓性事象のリスクを増大させる可能性がある。
・塩基性NSAIDsであるチアラミドは、主にCOX阻害と異なる作用で抗炎症・鎮痛・解熱作用を示すと考えられており、その作用は酸性NSAIDsに比べて弱い。

◇関連問題◇
第97回問163、第99回問163、第101回問38、第103回問160

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