薬剤師国家試験出題項目

性ホルモン関連薬

1 男性ホルモン・合成男性ホルモン

1)男性ホルモンの合成・分泌

 男性ホルモンであるテストステロンは、コレステロールを原料として、プレグネノロンを経て合成される。精巣間質細胞(ライディッヒ細胞)に下垂体から分泌されるICSH(間質細胞刺激ホルモン)が作用すると、男性ホルモンであるテストステロンが分泌され、テストステロンは生理活性を示すと共に標的細胞内で5α還元酵素によりジヒドロテストステロンとなり、テストステロンよりもアンドロゲン受容体に強く結合し、強力な生理活性を示す。

2)男性ホルモン関連薬

(1)男性ホルモン
① テストステロン

・タンパク同化作用(骨量・筋肉量・造血能増加など)、精子形成促進作用を有する。
・肝臓で代謝されやすいため、経口投与では用いられない。
・現在、医療用としては用いられていない。

(2)合成男性ホルモン
① メチルテストステロン ② テストステロンエナント酸エステル

・メチルテストステロンは、肝臓で代謝されにくいため、経口投与で用いることができる。
・テストステロンエナント酸エステルは、油性注射剤として用いられ、投与後、加水分解により遊離テストステロンを生じる。
◇適応症◇
男性性腺機能不全、造精機能不全
◇副作用◇
肝障害、女性胎児の男性化減少

(3)タンパク質同化ホルモン
① メテノロン酢酸エステル
・アンドロゲンの男性化作用を減弱し、タンパク同化作用を増強させた合成ステロイドである。
◇適応症◇
慢性腎疾患、悪性腫瘍、外傷による著しい消耗疾患
再生不良性貧血
骨粗鬆症

(4)抗男性ホルモン薬
① クロルマジノン酢酸エステル ② アリルエストレノール

・構造中にステロイド骨格を有する。
・選択的に前立腺に取り込まれ、前立腺細胞のアンドロゲン受容体を競合的に阻害する。
◇適応症◇
・クロルマジノン
高用量:前立腺肥大症、前立腺癌
低用量:月経異常
・アリルエストレノール
前立腺肥大症

③ フルタミド ④ ビカルタミド

・前立腺細胞のアンドロゲン受容体を阻害する。
◇適応症◇
前立腺癌
◇副作用◇
 肝障害

(5)5α還元酵素阻害薬
① デュタステリド ② フィナステリド

・デュタステリドは、非選択的に5α還元酵素を阻害する。
・フィナステリドは、選択的に5α還元酵素Ⅱ型を阻害する。
◇適応症◇
・デュタステリド
前立腺肥大症、男性における男性型脱毛症
・フィナステリド
男性における男性型脱毛症

2 女性ホルモン・合成女性ホルモン

1)女性ホルモン

 女性ホルモンには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)がある。

天然エストロゲンには、エストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)があり、その中でも、エストラジオールの作用が最も強力である。

 2)卵胞ホルモン関連薬

●卵胞ホルモン分泌機構
 視床下部より分泌されるゴナドトロピン放出ホルモン(Gn−RH)により、下垂体が刺激されると下垂体前葉よりゴナドトロピン(卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH))が分泌される。その後、下垂体から分泌されたFSHにより卵胞が刺激されるとエストラジオールが分泌される。エストラジオールは視床下部・下垂体に作用し、ゴナドトロピンの分泌を抑制する。

(1)卵胞ホルモン
① エストラジオール ② エストリオール

・子宮、膣、卵管、乳腺の発育を促進する。
・オキシトシンに対する感受性を増大させる。
・FSHの分泌を抑制する。
・骨吸収抑制作用、LDL低下作用を示す。
◇適応症◇
 更年期障害、萎縮性膣炎、骨粗鬆症
◇副作用◇
 血栓症、不正性器出血、乳房痛、肝障害

(2)合成卵胞ホルモン
① エチニルエストラジオール ② エストラジオール吉草酸エステル

・エチニルエストラジオールは、強力なエストロゲン作用(エストラジオールの約30倍)を示す。
・エストラジオール吉草酸エステルは、加水分解されエストラジオールとして作用する。
◇適応症◇
・エチニルエストラジオール
前立腺癌、閉経後の末期乳がん
・エストラジオール吉草酸エステル
無月経、月経周期異常、月経困難症、機能性子宮出血、更年期障害、不妊症など
◇副作用◇
 血栓症、不正性器出血、乳房痛、肝障害

(3)抗エストロゲン薬
① クロミフェン

・主に視床下部のエストロゲン受容体を競合的に阻害し、内因性エストロゲンによる負のフィードバックを抑制することでGn–RHの分泌を促進する。Gn−RHの分泌が促進されると、それに伴ってLH、FSHの分泌が促進し、排卵が誘発される。
◇適応症◇
 排卵障害に基づく不妊症の排卵誘発
◇副作用◇
 肝障害、卵巣過剰刺激症候群

(4)エストロゲン受容体調節薬
① タモキシフェン ② トレミフェン

・主に乳腺での抗エストロゲン作用を示す。
・子宮内膜、骨、肝臓では弱いエストロゲン作用を示す。
・タモキシフェンは、子宮内膜のエストロゲン受容体を刺激作用により子宮体癌、子宮肉腫を起こすことがある。
◇適応症◇
・タモキシフェン
乳癌
・トレミフェン
閉経後乳癌
◇副作用◇
血栓症、肝障害、白血球減少

③ ラロキシフェン ④ バゼトキシフェン

・主に骨でエストロゲン作用を示すことで骨吸収抑制作用を示す。
・乳腺や子宮のエストロゲン受容体にはアンタゴニストとして作用するため、乳腺組織や子宮内膜の増殖をきたしにくい。
◇適応症◇
 閉経後骨粗鬆症
◇副作用◇
 血栓症、肝障害

(5)エストロゲン合成阻害薬
① アナストロゾール ② レトロゾール ③ エキセメスタン

・エストロゲンの合成に関わるアロマターゼを阻害し、アンドロゲンからエストロゲンの合成を阻害する。
◇適応症◇
 閉経後乳癌
◇副作用◇
 ほてり、肝障害、骨粗鬆症

3)黄体ホルモン関連薬

●黄体ホルモン分泌機構
 視床下部より分泌されるゴナドトロピン放出ホルモン(Gn−RH)により、下垂体が刺激されると下垂体前葉よりゴナドトロピン(卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH))が分泌される。その後、下垂体から分泌されたLHが卵巣に作用すると、プロゲステロンが分泌される。プロゲステロンは視床下部・下垂体に作用し、ゴナドトロピンの分泌を抑制する。

(1)黄体ホルモン
① プロゲステロン

・子宮内膜を増殖期から分泌期に移行させる。
・子宮筋のオキシトシンに対する感受性を低下させる。
・LHサージの誘発を抑制することで排卵抑制作用を示す。
・視床下部の体温調節中枢を刺激し、排卵後の基礎体温を上昇させる。
◇適応症◇
 無月経、月経困難症、機能性子宮出血、黄体機能不全における不妊症など
◇副作用◇
 肝障害、浮腫

(2)合成黄体ホルモン
●プロゲステロン誘導体
① メドロキシプロゲステロン酢酸エステル
② ジドロゲステロン

◇適応症◇
 月経異常、黄体機能不全、切迫流早産

19–ノルテストステロン誘導体
③ ノルエチステロン
◇適応症◇
 月経異常、月経周期変更、避妊、更年期障害、月経困難症

エチステロン誘導体
④ ダナゾール
下垂体に作用し、ゴナドトロピン放出を抑制することで子宮内膜の増殖を抑制するとともに子宮内膜症組織に直接作用することにより萎縮・壊死させる。
◇適応症◇
 子宮内膜症

4)GnRHによるホルモンの調節

 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)は視床下部から分泌されるホルモンであり、下垂体に作用することでゴナドトロピン(黄体形成ホルモン:LH、卵胞刺激ホルモン:FSH)の分泌を調節している。GnRH製剤には、合成GnRHとGnRH誘導体(GnRH受容体アゴニスト、GnRH受容体アンタゴニスト)がある。

(1)合成GnRH
① ゴナドレリン

・間欠的にGnRH受容体を刺激し、LH、FSHの分泌促進することで性腺の発達促進、性ホルモン分泌促進作用を示す。
◇適応症◇
視床下部性性腺機能低下症

(2)GnRH受容体アゴニスト
① ブセレリン ② ゴセレリン ③ リュープロレリン

・持続的にGnRH受容体を刺激し、GnRH受容体のダウンレギュレーションを誘発することでLH・FSHの分泌を抑制する。
・性ホルモンの分泌を抑制する。
◇適応症◇
・ブセレリン
 子宮内膜症、子宮筋腫、不妊治療
・ゴセレリン
前立腺癌、閉経前乳癌、子宮内膜症
・リュープロレリン
前立腺癌、閉経前乳癌、子宮内膜症、子宮筋腫

(3)GnRH受容体アンタゴニスト
① デガレリクス
・内因性GnRHに拮抗することでLH・FSHの分泌を抑制する。
・性ホルモンの分泌を抑制する。
◇適応症◇
前立腺癌

 5)卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤

① エチニルエストラジオール・ノルゲストレル配合剤
② エチニルエストラジオール・ドロスピレノン配合剤
③ エチニルエストラジオール・ノルエチステロン配合剤
④ エチニルエストラジオール・レボノゲストレル配合剤
LH・FSH分泌抑制作用により卵胞発育を抑制するとともに排卵を抑制する。
子宮内膜の増殖を抑制することができるため月経困難症や子宮内膜症を改善する。

◇適応症◇
・エチニルエストラジオール ノルゲストレル配合剤
 機能性子宮出血、月経困難症、月経周期異常、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全
エチニルエストラジオール ドロスピレノン配合剤
 月経困難症
・エチニルエストラジオール ノルエチステロン配合剤
 月経困難症、避妊
・エチニルエストラジオール レボノゲストレル配合剤
 月経困難症、避妊

◇副作用◇
 血栓症、肝機能異常、不正出血、浮腫、体重増加、頭痛、うつ病 など

性ホルモン関連薬 PDFテキスト

◇関連問題◇
第97回問254〜255、第98回問40、第100回問260〜261、第101回問34、第101回問161、第103回問163、第104回問254〜255、第105回問36

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