薬剤師国家試験出題項目

反応速度と温度の関係

1 アレニウス式

多くの反応において、反応速度定数は温度の影響を受けて変化することから、反応速度は温度の影響を受けて変化する。

反応速度定数kと温度Tの関係については、アレニウス式が成立する。

Aは頻度因子、Eaは活性化エネルギー、Rは気体定数であり、頻度因子、活性化エネルギーはアレニウスパラメーターとよばれ、温度に依存しない定数である。
アレニウス式より、頻度因子と活性化エネルギーから、ある温度における反応速度定数を決定することができる。このことから、反応速度定数と温度の関係を理解する上で、アレニウスパラメーター(頻度因子及び活性化エネルギー)は重要の項目であるといえる。反応速度定数kと温度Tの関係をグラフにすると下記のようになり、温度の上昇に伴い反応速度定数は指数関数的に増加する。


2 アレニウスプロット

アレニウス式の両辺に対数をとると、

となる。この式をもとに絶対温度の逆数(1/T)に対して反応速度定数の対数(lnk)をプロットすると、アレニウスプロットが得られる。

アレニウスプロットより、縦軸切片から頻度因子を、傾きから活性化エネルギーを得ることができる。

<頻度因子について>
頻度因子は、最高温度における速度定数であり、その次元(単位)は、速度定数と同じになる。なお、頻度因子は、アレニウスプロットのy軸切片から求めることができる。

<温度変化における速度定数の変化>
温度変化による速度定数の変化を「反応速度定数の温度依存性」といい、活性化エネルギーが大きいほど反応速度定数の温度依存性は大きい。


3 医薬品の安定性の比較

 医薬品の安定性は、反応速度定数(反応性を示す指標)と反比例の関係を示すことから、反応速度定数を比較することにより、医薬品の安定性を比較することが可能である。医薬品の安定性を比較するにあたっては、アレニウスプロットが利用される。
例えば、ある温度(T1)における反応性が同じ医薬品Aと医薬品Bがあり、活性化エネルギーの関係がEaA>EaBである場合について考えてみる。

ある温度(T1)では、反応速度定数kが同じになり、また、それぞれの活性化エネルギーの関係がEaA>EaBであることから、上記のようなプロットが得られる。このプロットより、高温側での反応性はA>B(安定性はA<B)、低温側での反応性はA<B(安定性はA>B)であり、温度により反応性(安定性)の大小関係が異なる。このように温度により反応性(安定性)の大小関係が逆転ことがある。
なお、活性化エネルギーが同じ医薬品や頻度因子が同じ医薬品では、温度により反応性が逆転することはない。


4 ポテンシャルエネルギー変化

ポテンシャルエネルギー図より、反応物が生成物になるためには活性化状態を経由することが必要であることがわかる。これについては、ポテンシャルエネルギー曲線上に球があるとイメージすると容易に理解できる。山を越えることができなければ、球は反応物側にころがり、山を越えることができれば、球は生成物側にころがる。要するに球が山を越えることができなければ生成物側に移行することができないため、反応は進行しない。

<活性化エネルギーについて>
活性化エネルギーについては、反応物のエネルギーと活性化状態のエネルギーの差で表される。活性化エネルギーが小さい場合、ポテンシャルエネルギー図における山は小さくなり、反応は進行しやすくなる。

<反応熱(ΔrH)>
ポテンシャルエネルギー図より、反応前と反応後のエネルギーの差を読み取ることができ、そのエネルギーは反応熱に該当する。
・反応前に比べ反応後のエネルギーが大きい場合:吸熱反応
・反応前に比べ反応後のエネルギーが小さい場合:発熱反応

◇関連問題◇
第92回問22、第93回問22、第95回問22

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