薬剤師国家試験出題項目

化学平衡の原理

1 化学ポテンシャル

化学ポテンシャル(µ)は、1 molあたりのギブズエネルギーのことであり、モルギブズエネルギーといわれる。ギブズエネルギーについては、閉じた系における反応の方向を予測するために用いられたが、開いた系では、物質の出入りがあるため、ギブズエネルギーを用いて反応の方向を予測することは困難となる。そこで、導入された熱力学的関数が化学ポテンシャルであり、化学ポテンシャルを用いることにより、開いた系におけるギブズエネルギーを表すことができる。

<化学ポテンシャルの特徴>
・化学ポテンシャルは、1molあたりのギブズエネルギーであり、示強性状態関数に該当する。
・化学ポテンシャルに、物質量(mol)をかけると、ギブズエネルギーとなる。
・AとBの混合物における自由エネルギーは、「G=nAµA +nBµB」と表される。
・化学ポテンシャルは、ギブズエネルギーと同様に減少する方向に反応が進行する。
・化学ポテンシャルは、「µ=µ標準+RTlnx」で表され、濃度(x)の対数に比例して変化する。


2 平衡定数

平衡定数(K)は、平衡状態のおける反応の進行状況を表す指標であり、以下のように表すことができる。

上記のような反応式において、平衡状態にあるときのA、B、C、Dの濃度をそれぞれ[A]eq、[B]eq、[C]eq、[D]eqとすると、平衡定数Kは以下のようになる。

・平衡定数Kが1より大きい場合
[A]eq・[B]eq<[C]eq・[D]eqであり、反応は右に偏っている

 ・平衡定数Kが1より小さい場合
[A]eq・[B]eq>[C]eq・[D]eqであり、反応は左に偏っている

<平衡定数の特徴>
・平衡定数を確認することにより、反応の進行状況を確認することができる。
・平衡定数は、平衡状態のおける濃度より表すことができる。


3 ギブズエネルギーと平衡定数

 標準状態のおける反応過程で生じるギブズエネルギーを標準反応ギズブエネルギーΔrG標準とすると、標準反応ギブズエネルギーΔrG標準と平衡定数Kの関係は以下のように表すことができる。

ΔrG標準=-RTlnK

上記の式より、K>1の場合、ΔrG標準<0となり、反応は右に偏り、K<1の場合、ΔrG標準>0となり、反応は左に偏ると考えることができる。


4 ルシャトリエの法則 

温度および圧力が変化すると反応の進行が変化する。例えば、液体を温めると気体に変化する。また、気体を入れた容器を圧縮すると液体化する。これは、温度や圧力が変化することにより平衡の位置が変化することを示している。このように何らかの変化を与えると、加えた外的な変化を抑制する方向に平衡の位置が変化する。この経験則を「ルシャトリエの法則」という。


5 平衡定数と温度の関係

平衡定数Kと標準反応ギブズエネルギーΔrG標準の関係には、以下の関係式が成立する。

ΔrG標準=-RTlnK

「ΔrG標準=-RTlnK」と「ΔrG標準=ΔrH標準-T・ΔrS標準」より、平衡定数Kと絶対温度Tの関係式を導くと、以下のような式が成立する。

絶対温度Tの逆数(1/T)に対して平衡定数の対数値lnKをプロットすると、ファントホッフプロットが得られる。

<ファントホッフプロットの特徴>
・絶対温度Tの逆数(1/T)に平衡定数の対数(lnK)をプロットしたもの
・傾きから標準反応エンタルピーを求めることが可能である。
・切片から標準反応エントロピーを求めることが可能である。

◇関連問題◇
第97回問92、第99回問2、第102回問91

-薬剤師国家試験出題項目

Copyright© yakugaku lab , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.