動脈血ガス分析
血液ガス分析とは、検体に動脈血または静脈血を用いて、肺胞におけるガス交換能、酸・塩基平衡を調べる検査である。動脈血ガス分析では、pH、PaO2(動脈血酸素分圧)、PaCO2(動脈二酸化炭素分圧)が測定される。
1)動脈血pH
基準値は7.35〜7.45である。アシドーシスの場合ではpHは低値を示し、アルカローシスではpHは高値を示す。
分類 | 原因 | |
アシドーシス | 代謝性 | 糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症、腎不全、下痢 |
呼吸性 | 慢性閉塞性肺疾患、肺水腫、肺線維症 | |
アルカローシス | 代謝性 | 嘔吐、低カリウム血症 |
呼吸性 | 甲状腺機能亢進症、肝性昏睡、肺塞栓症 |
2)酸素分圧(PO2、PaO2)
動脈血中に溶解した酸素を反映した値であり、基準値は80〜100Torr(mmHg)である。代謝性アシドーシスや過換気症候群、酸素吸入時に高値を示し、肺水腫、肺線維症、神経・筋疾患、間質性肺炎、浮腫、肺炎などで低値を示す。
3)酸素飽和度(SO2、SaO2)
血液中のヘモグロビンの酸素との結合率を表したものであり、基準値は94〜97%である。換気不全のときは低値を示し、体内が酸素不足であることを表す。
4)二酸化炭素分圧(PCO2、PaO2)
動脈血中の二酸化炭素分圧を表したものであり、基準値は35〜45Torrである。
原因 | |
高値 | 換気が低下している状態、低換気状態 慢性閉塞性肺疾患、肺水腫、肺線維症、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症、筋ジストロフィー、睡眠薬・麻酔薬・鎮静薬の過剰投与 など |
低値 | 換気が増加している状態、過換気状態 発熱、疼痛、せん妄、感染症、代謝性アシドーシス など |