覚えること
- 副交感神経遮断薬は、主にムスカリン受容体を遮断してAChの作用を抑える。
- M2遮断 → 心拍数増加につながる。
- M3遮断 → 平滑筋弛緩・分泌抑制が基本である。
- 眼では散瞳・調節麻痺・眼圧上昇を起こす。
- 消化管では運動抑制、気管支では拡張、膀胱では排尿筋弛緩を起こす。
- 副作用や禁忌は、「副交感神経の作用を止めたらどうなる?」と考えると整理しやすい。
副交感神経遮断薬の基本
副交感神経遮断薬は、主にムスカリン受容体を遮断することで、副交感神経節後線維から放出されるアセチルコリン(ACh)の作用を抑える薬物である。
そのため作用は、副交感神経興奮薬とは基本的に反対方向となる。
心臓 → 心拍数↑
瞳孔 → 散瞳
分泌腺 → 分泌↓
気管支 → 拡張
腸管 → 運動↓
膀胱 → 弛緩して尿をためる
しもっち副交感神経では「出す・動かす」方向の作用が多いので、それを止めると口が乾く、便秘になる、尿が出にくくなるとつながるよ。
M2・M3受容体遮断作用
M2受容体遮断
心臓では副交感神経がM2受容体を介して心拍数を低下させている。
そのためM2受容体を遮断すると、迷走神経による心機能抑制が解除され、心拍数が増加する。
M3受容体遮断
M3受容体遮断では、主に平滑筋弛緩と分泌抑制が現れる。
- 瞳孔括約筋弛緩 → 散瞳
- 毛様体筋弛緩 → 調節麻痺
- 気管支平滑筋弛緩 → 気管支拡張
- 消化管平滑筋弛緩 → 消化管運動抑制
- 膀胱排尿筋弛緩 → 蓄尿
- 唾液・気道などの分泌抑制
抗ムスカリン薬の代表的な禁忌・注意疾患
抗ムスカリン作用によって症状を悪化させる可能性がある患者背景に注意する。
⚫️閉塞隅角緑内障
抗ムスカリン薬により散瞳すると隅角が狭くなり、眼房水の流出が妨げられて眼圧が上昇するおそれがある。
⚫️前立腺肥大症などによる排尿障害
膀胱排尿筋を弛緩させるため、排尿困難や尿閉を悪化させるおそれがある。
⚫️麻痺性イレウス
消化管平滑筋を弛緩させて蠕動運動を抑制するため、腸管運動がさらに低下するおそれがある。



緑内障 → 散瞳させたら困る
排尿障害 → 膀胱をゆるめたら困る
イレウス → 腸を止めたら困ると考えれば、患者背景から判断できるよ。
ベラドンナアルカイド
アトロピン・スコポラミン
アトロピン、スコポラミンは代表的な抗ムスカリン薬であり、ムスカリン受容体におけるAChの作用に拮抗する。
その結果、散瞳、調節麻痺、分泌抑制、気管支拡張、消化管運動抑制、膀胱弛緩、心拍数増加などが現れる。
⚫️主な副作用
- 口渇
- 便秘
- 排尿困難
- 散瞳・調節障害
- 眼圧上昇
- 頻脈
アトロピンではムスカリン受容体遮断により唾液分泌が抑制されるため、口渇が現れる。
薬剤師国家試験で、アトロピンの薬理作用として唾液分泌抑制が問われている。



分泌を止める → 口渇
腸を止める → 便秘
膀胱をゆるめる → 排尿困難
目を散瞳させる → 眼圧上昇
このようにつなげて覚えよう。
アトロピン代用薬
アトロピンの作用を利用しながら、作用時間や臓器選択性などを調整して臨床で使用しやすくした薬物がある。
散瞳・調節麻痺薬
代表薬にはホマトロピン、トロピカミド、シクロペントラートなどがある。
ムスカリン受容体を遮断して、瞳孔括約筋を弛緩 → 散瞳、毛様体筋を弛緩 → 調節麻痺を起こす。
眼底検査などでは、散瞳させることで広い範囲の眼底を観察しやすくする。
これらはアトロピンより作用時間が短く、アトロピン > ホマトロピン > シクロペントラート > トロピカミドとなっている。



ピロカルピン → M3刺激 → 縮瞳、トロピカミド → M3遮断 → 散瞳
眼科薬ではこの対比を意識しよう。
鎮痙薬
代表薬にはプロパンテリン、ブチルスコポラミン、メペンゾラートなどがある。
消化管のムスカリン受容体を遮断し、消化管平滑筋の過剰な収縮を抑制する。
そのため、消化管のけいれん性疼痛や、蠕動運動亢進に伴う症状などの改善に用いられる。
メペンゾラートは、ムスカリン受容体を遮断して下部消化管のけいれん性収縮を抑制するため、過敏大腸症などに用いられる。
消化性潰瘍治療薬
ピレンゼピンはムスカリン受容体を遮断して、胃酸分泌を抑制することで抗潰瘍作用を示す。
気管支収縮抑制薬
代表薬にはイプラトロピウム、チオトロピウム、グリコピロニウム、アクリジニウム、ウメクリジニウムなどがある。気管支平滑筋のM3受容体を遮断し、AChによる気管支収縮を抑えることで気管支平滑筋を弛緩させる。慢性閉塞性肺疾患(COPD)などに用いられる薬が多い。



β2刺激薬 → 弛緩させる作用を足す
抗コリン薬 → AChによる収縮を止める
結果は同じ気管支拡張でも、作用機序は違うよ。
頻尿・過活動膀胱治療薬
代表薬には、プロピベリン、オキシブチニン、ソリフェナシン、イミダフェナシン、トルテロジン、フェソテロジンなどがある。
膀胱排尿筋のM3受容体を遮断することで、AChによる排尿筋収縮を抑制し、膀胱を弛緩させて蓄尿機能を改善する。
そのため、尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁などの改善に用いられる。



M3遮断
→ 排尿筋が弛緩
→ 膀胱に尿をためやすくなる
→ 頻尿・尿意切迫感が改善
とつなげよう。
プロピベリンは抗ムスカリン作用に加えて、Ca2+チャネルを介した平滑筋収縮を抑制する作用
も有ため、複数の作用によって膀胱排尿筋の異常収縮を抑制します。
子宮・消化管平滑筋を弛緩する薬
ピペリドレートは主にM3受容体を遮断し、子宮平滑筋や消化管平滑筋を弛緩させる。
消化管のけいれん性疼痛や、切迫流・早産に伴う症状などに用いられる。
中枢性抗コリン薬
代表薬にはトリヘキシフェニジル、ビペリデン、プロフェナミンなどがある。
これらは第三級アミンであり、血液脳関門を通過して中枢神経系に作用する。
線条体におけるムスカリン受容体を遮断し、パーキンソン病や薬剤性パーキンソン症候群で
相対的に亢進したコリン作動性神経の作用を抑えることで運動症状を改善する。
黒質線条体系のドパミン作用↓→ACh作用が相対的に優位になる
→中枢性抗コリン薬→ACh作用↓→ドパミンとAChのバランスを改善



国家試験での狙い目
- 抗ムスカリン薬 → 副交感神経作用を抑制する。
- M2遮断 → 心拍数↑を押さえる。
- M3遮断 → 平滑筋弛緩・分泌↓を基本にする。
- 眼 → 瞳孔括約筋弛緩 → 散瞳を押さえる。
- 毛様体筋弛緩 → 調節麻痺を押さえる。
- 気管支M3遮断 → 気管支拡張を押さえる。
- 膀胱M3遮断 → 排尿筋弛緩 → 蓄尿を押さえる。
- 閉塞隅角緑内障・排尿障害・麻痺性イレウスなどの患者背景に注意する。
- プロピベリン → M3遮断+Ca2+関連作用を押さえる。
- 中枢性抗コリン薬 → パーキンソニズム → ドパミンとAChのバランスを理解する。



AChが収縮させている→ 抗コリン薬で弛緩
AChが分泌させている→ 抗コリン薬で分泌低下
この考え方ができれば、適応・副作用・禁忌までつながるよ。
1問1答で確認しよう
Q1.アトロピンが遮断する代表的な受容体は?
→ ムスカリン受容体。
Q2.抗ムスカリン薬により瞳孔はどうなる?
→ 散瞳する。
Q3.トロピカミドが散瞳を起こす作用機序は?
→ M3受容体を遮断し、瞳孔括約筋を弛緩させる。
Q4.チオトロピウムが気管支を拡張する作用機序は?
→ 気管支平滑筋のM3受容体を遮断する。
Q5.過活動膀胱に用いる代表的な抗コリン薬は?
→ オキシブチニン、ソリフェナシンなど。
Q6.プロピベリンが膀胱平滑筋収縮を抑制する2つの作用は?
→ M3受容体遮断作用とCa2+関連作用。
Q7.抗コリン薬によって悪化する可能性がある代表的な眼疾患は?
→ 閉塞隅角緑内障。
Q8.抗コリン薬で排尿困難が起こる理由は?
→ 膀胱排尿筋が弛緩するため。
Q9.中枢性抗コリン薬の代表薬は?
→ トリヘキシフェニジル、ビペリデンなど。
Q10.中枢性抗コリン薬がパーキンソニズムを改善する考え方は?
→ 線条体で相対的に亢進したACh作用を抑え、ドパミンとのバランスを改善する。



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