MENU
YAKUZERO オンライン授業コース クリック

副交感神経興奮薬(コリン作動薬)

覚えること

  • 副交感神経興奮薬は、まず直接型と間接型に分けて整理する。
  • 直接型はムスカリン受容体などを直接刺激する。
  • 間接型はコリンエステラーゼ(ChE)を阻害し、AChの分解を抑える。
  • M2刺激 → 心機能抑制が基本である。
  • M3刺激 → 縮瞳・分泌↑・気管支収縮・腸管運動↑・排尿促進が基本である。
  • ChE阻害薬ではムスカリン様作用だけでなくニコチン様作用も現れる。
  • ChE阻害薬の過量ではコリン作動性クリーゼに注意する。

副交感神経興奮薬の基本

副交感神経の節後線維からは主にアセチルコリン(ACh)が放出され、効果器に存在するムスカリン受容体を刺激する。
そのため、副交感神経興奮薬では、「AChの作用を強くする薬」と考えると理解しやすい。
作用の仕方によって、次の2つに分類される。

  • 直接型コリン作動薬:ムスカリン受容体などを直接刺激する。
  • 間接型コリン作動薬:ChEを阻害し、AChの分解を抑えることで間接的にコリン作動性神経を興奮させる。
しもっち
副交感神経興奮薬は、薬の名前を覚える前に「直接ACh受容体を刺激する? それともAChを分解させない?」で分けよう。
直接型は受容体を刺激、間接型はAChを増やす
この違いが分かれば、かなり整理しやすくなるよ。

副交感神経が興奮するとどうなる?

副交感神経興奮作用を理解するときは、M2受容体とM3受容体を中心に考える。

M2受容体

心臓のM2受容体が刺激されると、心拍数が低下するなど心機能が抑制される。

M3受容体

M3受容体刺激では、主に平滑筋収縮や外分泌促進が起こる。

  • 瞳孔括約筋収縮 → 縮瞳
  • 毛様体筋収縮 → 眼房水流出促進 → 眼圧低下
  • 気管支平滑筋収縮 → 気管支収縮
  • 腸管平滑筋収縮 → 消化管運動亢進
  • 膀胱排尿筋収縮 → 排尿促進
  • 唾液腺などの分泌促進
副交感神経興奮作用をまとめると
心臓 → ゆっくり
瞳孔 → 小さく
気管支 → 狭く
腸管 → 動く
膀胱 → 収縮して尿を出す
分泌腺 → 分泌↑

しもっち
副交感神経は「休んで、食べて、出す」方向に働くと考えると分かりやすいよ。
腸を動かす、尿を出す、唾液を出す。一方で心臓はゆっくりになる。
薬の作用を暗記する前に、まずこの生理作用を理解しておこう。

直接型コリン作動薬

アセチルコリン

アセチルコリン(ACh)はムスカリン受容体を刺激し、副交感神経興奮作用を示す。
また、自律神経節や神経筋接合部などのニコチン受容体にも作用する。
アセチルコリンは第四級アンモニウム化合物であり、血液脳関門を通過しにくいため、中枢作用を示しにくい。

ムスカリン様作用

効果器のムスカリン受容体が刺激されることで、徐脈、気管支収縮、縮瞳、腸管収縮、膀胱収縮、分泌促進などが起こる。
これらの作用はアトロピンやスコポラミンなどのムスカリン受容体遮断薬によって抑制される。

ニコチン様作用

AChはニコチン受容体にも作用する。

  • NN受容体:自律神経節、副腎髄質など
  • NM受容体:神経筋接合部

NM受容体を刺激すると、骨格筋が収縮する。

合成コリンエステル類

代表薬には、ベタネコール、カルバコール、メタコリンなどがある。
これらはアセチルコリンの構造を変化させることで、コリンエステラーゼに分解されにくくした薬物である。

構造と作用の関係

  • アセチル基 → カルバモイル基:ChEによる分解を受けにくくなる。
  • β位にメチル基を導入:ニコチン様作用が弱くなる。
しもっち
ここは化学と薬理をつなげられるポイントです。
カルバモイル基 → 分解されにくい
βメチル基 → ニコチン作用↓
構造変化にちゃんと意味があると考えると覚えやすいよ。

ベタネコール

ベタネコールはムスカリン受容体を刺激し、腸管平滑筋や膀胱排尿筋を収縮させる。
ニコチン様作用はほとんど示さず、手術後・分娩後の腸管麻痺、麻痺性イレウス、低緊張性膀胱による排尿困難などに用いられる。

副作用として、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、唾液分泌過多、発汗、徐脈、血圧低下、縮瞳などに注意する。

しもっち
ベタネコールは「動かない腸・動かない膀胱を動かす薬」と考えよう。
M3刺激 → 平滑筋収縮まで分かっていれば、
腸管麻痺・排尿困難という適応も自然につながるよ。

コリン作動性アルカロイド

ピロカルピン

ピロカルピンは主にムスカリン受容体を刺激し、縮瞳、眼圧低下、唾液分泌促進などの作用を示す。
瞳孔括約筋を収縮させて縮瞳を起こし、毛様体筋を収縮させることで眼房水流出を促進し、眼圧を低下させる。
そのため点眼では緑内障や縮瞳に用いられる。また、経口投与ではシェーグレン症候群に伴う口腔乾燥症状の改善に用いられる。

副作用として、発汗、悪心、下痢、腹痛、縮瞳などに注意する。

しもっち
ピロカルピンは「目」と「口」で整理すると覚えやすいよ。
目 → 縮瞳・眼圧↓
口 → 唾液↑ → 口腔乾燥改善
ムスカリン受容体刺激から適応をつなげよう。

セビメリン

セビメリンはムスカリンM3受容体を刺激し、唾液分泌を促進する。
主にシェーグレン症候群に伴う口腔乾燥症状の改善に用いられる。

間接型コリン作動薬

コリンエステラーゼ阻害薬

コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬は、AChを分解するChEを阻害する。

その結果、シナプス間隙のACh濃度が上昇し、ムスカリン受容体及びニコチン受容体への作用が増強される。

作用機序から連想しよう
ChE阻害→AChの分解↓シナプス間隙のACh濃度↑
→ムスカリン様作用↑ + ニコチン様作用↑

チェックポイント
ChE阻害薬はムスカリン様作用だけを示す薬ではない
AChそのものが増えるため、ムスカリン受容体とニコチン受容体の両方への作用が強くなる。

可逆的コリンエステラーゼ阻害薬

代表薬には、ネオスチグミン、ジスチグミン、ピリドスチグミン、アンベノニウム、エドロホニウムなどがある。

ネオスチグミン

ネオスチグミンはChEを可逆的に阻害し、AChの分解を抑制してシナプス間隙のACh濃度を上昇させる。
その結果、腸管運動亢進、排尿筋収縮などのムスカリン様作用に加え、神経筋接合部におけるニコチン作用も増強する。主に、
重症筋無力症、手術後・分娩後の腸管麻痺や排尿困難
などに用いられる。
第四級アンモニウム化合物であるため、血液脳関門を通過しにくく、中枢作用を示しにくい

ジスチグミン・ピリドスチグミン・アンベノニウム

これらもChEを阻害してAChの分解を抑制する。

  • ジスチグミン:排尿困難、重症筋無力症など
  • ピリドスチグミン:重症筋無力症
  • アンベノニウム:重症筋無力症

エドロホニウム

エドロホニウムはChEに短時間結合して、AChの分解を一時的に抑制する。
作用時間が短いため、重症筋無力症の診断に用いられてきた薬物として整理する。

しもっち
可逆的ChE阻害薬では、
「筋肉を動かしたいのか」「腸・膀胱を動かしたいのか」を考えよう。
AChが増えるので、神経筋接合部にも副交感神経の効果器にも作用できるんだよ。

アコチアミド

アコチアミドは消化管のChEを阻害し、ACh濃度を上昇させることで消化管運動を改善する。
主に機能性ディスペプシアの治療に用いられる。

コリン作動性クリーゼ

ChE阻害薬によってACh作用が過剰になると、ムスカリン様作用とニコチン様作用が過剰に現れる。
この危険な状態をコリン作動性クリーゼという。
初期には、腹痛、下痢、唾液分泌増加、発汗、縮瞳、徐脈などが現れることがある。
重症化すると、気管支収縮・分泌増加や骨格筋機能障害などにより呼吸困難を起こす可能性がある。
対応として、ChE阻害薬の中止、呼吸管理、アトロピンなどの抗コリン薬を用いる。

しもっち
重症筋無力症の患者がChE阻害薬を使っていて、腹痛・下痢・唾液↑・縮瞳などが出てきたら、
「薬が足りない」と考えて追加しないこと。AChが多すぎるコリン作動性クリーゼを疑おう。

非可逆的コリンエステラーゼ阻害薬

サリンや有機リン系化合物などは、ChEを強く、長時間阻害することでAChを過剰に蓄積させる。
その結果、縮瞳、徐脈、気管支収縮、消化管運動亢進、分泌亢進などのムスカリン様作用に加えて、骨格筋の攣縮などのニコチン様作用も現れる。
脂溶性の高い化合物では血液脳関門を通過し、振戦、錯乱、けいれん、意識障害などの中枢症状も起こり得る。

解毒

有機リン系ChE阻害薬による中毒では、アトロピンプラリドキシム(PAM)が重要となる。

  • アトロピン:ムスカリン受容体を遮断し、過剰なムスカリン作用に拮抗する。
  • PAM:リン酸化されたChEを再賦活化する。
アトロピンとPAMは役割が違う
アトロピン→ AChのムスカリン作用を受容体で遮断
PAM→ 阻害されたChEを再賦活化

同じ「解毒薬」として丸暗記せず、どこに作用するのかまで区別しよう。

国家試験での狙い目

  • 直接型 → 受容体を直接刺激、間接型 → ChE阻害を区別する。
  • M2刺激 → 徐脈を押さえる。
  • M3刺激 → 縮瞳・気管支収縮・腸管収縮・膀胱収縮・分泌↑を押さえる。
  • ベタネコール → 腸管・膀胱を収縮 → 腸管麻痺・排尿困難をつなげる。
  • ピロカルピン → 縮瞳・眼圧↓・唾液↑を押さえる。
  • セビメリン → M3刺激 → 唾液分泌↑を押さえる。
  • ChE阻害 → ACh↑ → ムスカリン作用+ニコチン作用を理解する。
  • ネオスチグミン → 重症筋無力症・腸管麻痺・排尿困難を押さえる。
  • ChE阻害薬投与中+腹痛・下痢 → コリン作動性クリーゼを疑う。
  • 有機リン中毒 → アトロピン+PAMを押さえる。
しもっち
副交感神経興奮薬の問題では、「薬物名 → 適応」だけを覚えないようにしよう。

① AChをどう増やす・作用させる?
② M2? M3? ニコチン受容体?
③ その臓器はどう動く?
④ だから何の治療に使える?

この順番で考えれば、適応も副作用も一緒に理解できるよ。

1問1答で確認しよう

Q1.副交感神経興奮薬は作用形式から何型と何型に分類される?
直接型と間接型。

Q2.心臓のM2受容体を刺激すると心拍数はどうなる?
低下する。

Q3.M3受容体刺激により瞳孔はどうなる?
縮瞳する。

Q4.腸管麻痺や低緊張性膀胱による排尿困難に用いる直接型コリン作動薬は?
ベタネコール。

Q5.緑内障やシェーグレン症候群の口腔乾燥に用いられる薬物は?
ピロカルピン。

Q6.コリンエステラーゼ阻害薬ではシナプス間隙のACh濃度はどうなる?
上昇する。

Q7.重症筋無力症に用いられる代表的な可逆的ChE阻害薬は?
ネオスチグミン、ピリドスチグミンなど。

Q8.ChE阻害薬投与中に腹痛・下痢などが出現した場合に疑う状態は?
コリン作動性クリーゼ。

Q9.有機リン系ChE阻害薬中毒でムスカリン作用に拮抗する薬は?
アトロピン。

Q10.リン酸化されたChEを再賦活化する薬は?
プラリドキシム(PAM)。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする