薬剤師国家試験出題項目

利尿薬

利尿薬

1 糸球体濾過と尿細管の役割

 腎臓の最小単位をネフロンといい、原尿を生成する腎小体と原尿の成分を調節する尿細管で構成されている。腎小体は糸球体とボーマン嚢で構成されており、尿細管は近位尿細管、ヘンレループ、遠位尿細管、集合管で構成されている。

1)糸球体濾過

糸球体濾過では、糸球体毛細血管内の血液が濾過され、原尿が生成される。原尿は1日あたり約180L生成されるが、尿細管を通過する過程でほとんど再吸収され約1.4Lが尿となる。

2)尿細管における各部位の働き

2 利尿薬

 利尿薬には、Na利尿と浸透圧利尿を示すものがある。

1)炭酸脱水酵素阻害薬

① アセタゾラミド

・近位尿細管の炭酸脱水酵素を阻害し、Na/H交換系を抑制することで、Hの排泄及びNaの再吸収を減少させ、利尿作用を示す。
・毛様体上皮の炭酸脱水酵素を阻害し、眼房水の産生を抑制することにより眼圧を低下させる。
・糸球体濾過を受けたHCO3の尿中排泄が増加することで、尿はアルカリ性、血液は酸性に傾く。
・緑内障、てんかん、メニエール病・メニエール症候群、浮腫、呼吸性アシドーシスの改善、睡眠時無呼吸症候群に用いられる。
・副作用として、代謝性アシドーシス(HCO3の尿中排泄:増加)、低カリウム血症、低ナトリウム血症、尿路結石を起こすことがある。

2)ループ利尿薬

① フロセミド ② ブメタニド ③ トラセミド ④ アゾセミド

・ヘンレ係蹄上行脚の管腔側からNa–K–2Cl共輸送系を抑制し、Na、K、Clの再吸収を抑制することで利尿作用を示す。
・ヘンレ係蹄上行脚においてNaの再吸収が抑制されることにより、遠位尿細管及び集合管でNa濃度が上昇する。それによりNa−K交換系が活性化し、尿中へのKの排泄が促進されることで低カリウム血症を誘発することがある。
・トラセミドは、抗アルドステロン作用を有するため、ループ利尿薬の中でも低カリウム血症を起こしにくい。
・チアジド系利尿薬と比較し、作用は強力であるが、作用持続時間は短い。
・主に浮腫(心性浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫)の改善に用いられる。
・副作用として、低カリウム血症、高尿酸血症、高血糖症、光線過敏症を起こすことがある。
・低カリウム血症によりジギタリス製剤の作用を増強させることがある。また、アミノグリコシド系抗生物質やシスプラチンと併用することにより腎障害、聴覚障害が増強するおそれがある。

3)チアジド系利尿薬

① ヒドロクロロチアジド ② トリクロルメチアジド
③ メフルシド ④ インダパミド

*メフルシド、インダパミドは薬理作用はチアジド系利尿薬に類似しているが、化学構造がチアジド系利尿薬と異なるため、非チアジド系に分類される。

・有機アニオン輸送系により近位尿細管腔に分泌され、遠位尿細管前半部のNa−Cl共輸送系を抑制し、Na、H2Oの再吸収を抑制することで利尿作用を示す。
・遠位尿細管前半部のNa−Cl共輸送系を抑制し、遠位尿細管及び集合管のNa濃度を上昇させる。それによりNa−K交換系が活性化し、尿中へのKの排泄が促進されることで低カリウム血症を誘発することがある。
・弱い炭酸脱水酵素阻害作用を示す。
・心疾患、腎疾患、肝疾患などによる浮腫、高血圧に用いられる。
・副作用として、低カリウム血症、高血糖、血清脂質の上昇、高尿酸血症、光線過敏症を起こすことがある。
・低カリウム血症により強心配糖体の作用が増強することがある。また、経口血糖降下薬の血糖降下作用を減弱することがある。

4)K保持性利尿薬

●抗アルドステロン薬
① スピロノラクトン ② エプレレノン ③ カンレノ酸カリウム

・集合管及び遠位尿細管のアルドステロン受容体を阻害し、Naの再吸収を阻害することにより利尿作用を示す。
・二次的Na/KATPaseを抑制することで血中K濃度を上昇させる。
・ループ利尿薬、チアジド系利尿薬使用による低カリウム血症を軽減する目的で用いられることがある。
・スピロノラクトン、エプレレノンは高血圧症に用いられる。また、スピロノラクトン、カンレノ酸は、浮腫に用いられる。
・副作用として、高カリウム血症、女性化乳房を起こすことがある。

●Naチャネル遮断薬
① トリアムテレン

・集合管及び遠位尿細管のアミロライド感受性Naチャネル(上皮型Naチャネル)を遮断し、利尿作用を示す。
・二次的Na/KATPaseを抑制することで血中K濃度を上昇させる。
・ループ利尿薬、チアジド系利尿薬使用による低カリウム血症を軽減する目的で用いられることがある。
・副作用として、高カリウム血症を起こすことがある。

●K保持性利尿薬の作用点

5)浸透圧利尿薬

① D−マンニトール ② イソソルビド

・血漿浸透圧を上昇させ、組織水分を血液中に引き寄せることで、腎血流量を増加させる。その結果、糸球体濾過量が増大し、利尿作用を示す。
・尿細管でほとんど吸収されず、尿細管腔内の浸透圧を上昇させることによりNa、水の再吸収を抑制し、利尿作用を示す。

6)バソプレシン受容体拮抗薬

① トルバプタン

・バソプレシンV2受容体を遮断作用し、パソプレシンによる水の再吸収を抑制することで利尿作用を示す。
・選択的に水の再吸収を抑制するため、電解質の排泄を増加させない。
・ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全、肝硬変における体液貯留に用いられる。

◇関連問題◇
第97回問34、第97回問252〜253、第98回問159、第99回問158、第100回問32、第101回問158、第103回問35、第104回問156、第104回問252〜253

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