薬剤師国家試験出題項目

初回通過効果

1 初回通過効果

初回通過効果とは、投与部位から吸収された薬物が循環血中に移行する前に小腸や肝臓などで代謝を受けることである。特に経口投与時には初回通過効果の影響が大きく薬物によっては薬効が低下もしくは発現しないことがある。

胃、小腸、大腸、直腸上部から吸収された多くの薬物は、消化管粘膜や肝臓で代謝受けた後、循環血液に移行する。このことから、胃、小腸、大腸、直腸上部から吸収された薬物は消化管粘膜や肝臓で初回通過効果を受ける。
それに対して、口腔粘膜、直腸下部、皮膚、鼻腔から吸収された薬物は、消化管粘膜や肝臓を経由せず、直接循環血液に移行するため、初回通過効果をほとんど受けない。

1)初回通過効果を受けやすい薬物

ニトログリセリンは、肝臓で初回通過効果を受けやすいため、消化管から吸収されるとほとんど循環血液中には移行しない。そのため、ニトログリセリンは、舌下錠や経皮吸収製剤として投与される。

2)肝初回通過効果を回避できる投与経路

薬物が全身循環に移行する過程で肝臓を通過しない経路で投与すると、肝初回通過効果を回避することができる。

2 初回通過効果と生物学的利用能

生物学的利用能(バイオアベリラビリティ)は、「薬物が全身循環血中に到達するまでの速度と全身循環血中に到達した量」で定義される。
経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティFは、投与した薬物のうち、循環血液中に到達した薬物の割合である。例えば、100 mg経口投与し、循環血液中に70 mgが循環血液中に移行したとすると、そのFは70÷100=0.7(70%)となる。

また、絶対的バイオアベイラビリティFは、下記の式より求めることができる。

AUCpo:経口投与時の血中濃度時間曲線下面積、Dpo:経口投与時の投与量
AUCiv:静脈内投与時の血中濃度時間曲線下面積、Div:静脈内投与時の投与量

よって、投与量Dが同じ場合、静脈内投与して得られる血中薬物濃度時間曲線下面積AUCivと経口投与して得られる血中薬物濃度時間曲線下面積AUCpoによりFを求めることができる。

Fは生物学的利用能の量的な指標であり、最高血中濃度到達時間(tmax)は吸収速度の指標、最高血中濃度(Cmax)は速度と量の指標となる。

経口投与後、消化管から全身循環血中に達するまでには、「消化管粘膜を透過すること」、「消化管上皮細胞および肝臓での代謝をまぬがれること」が必要となる。
消化管粘膜率をFa、小腸で代謝をまぬがれた割合をFg、肝臓で代謝をまぬがれた割合をFhとすると、Fは、F=Fa・Fg・Fhとなる。

例えば、消化管粘膜率をFaを80%、小腸での代謝を受けず、肝臓で40%代謝される場合、Fは下記のように計算することができる。

●Fa、Fg、Fhを計算する
Fa=0.8
Fg=1-小腸で代謝を受けた割合=1-0=1
Fh=1-肝臓で代謝を受けた割合=1-0.4=0.6

●Fを計算する
F=Fa・Fg・Fh=0.8×1×0.6=0.48

上記のように、Fには小腸で代謝を受けた割合、肝臓で代謝を受けた割合が関与しており、小腸、肝臓で代謝を受けた割合が大きくなると、Fは小さくなる。なお、肝臓を1回通過した際に代謝を受ける割合を肝抽出率Ehといい、Eh=肝初回通過効果割合となる。

◇関連問題◇
第100回問46、第103回問167、第104回問41

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