薬剤師国家試験出題項目

分散系

1 分散系

分散系とは、溶媒分子の中に分子や粒子が分散している系のことであり、溶媒分子を分散媒(連続相)、分散媒中の分子や粒子を分散相(不連続相)という。分散系は分散相の粒子径により分子分散系、コロイド分散系、粗大分散系に分類される。

生理食塩水、ブドウ糖液は分子分散系、cmc以上の界面活性剤溶液はコロイド分散系、赤血球浮遊液、懸濁性点眼液は、粗大分散系に分類される。

1.1 エマルション(乳剤)

エマルションとは、液相中に液滴が分散している系のことであり、乳剤ともいわれる。エマルションには水中に油滴が分散している水中油型エマルション(O/W型エマルション)と油中に水滴が分散している(W/O型エマルション)が存在する。安定なエマルションを作成するためには、適切な乳化剤を使用する必要がある。
脂溶性の乳化剤(界面活性剤)を用いると、安定なW/O型エマルションを作成することができ、また、水溶性の乳化剤(界面活性剤)を用いると、安定なO/W型エマルションをを作成することができる。

1.2 サスペンション(懸濁剤)

サスペンションとは、液相中に固相が分散している系のことであり、懸濁剤ともいわれる。懸濁剤の中でも流動性のあるものをゾル、流動性のないものをゲルという。

2 分散系の安定性

分散系の安定性とは、分散状態が時間の経過とともに変化しないことである。分散系は、分散粒子のポテンシャルエネルギーが高い状態(熱力学的に不安定な状態)にあるとき分散状態を維持することができる。

2.1 疎水コロイドの安定性

疎水性の分散コロイド粒子の間に働く力は、粒子間のファンデルワールス引力と静電反発力により決まる。

ファンデルワールス力>静電反発力の場合、疎水粒子は凝集し沈殿する。一方、ファンデルワールス力<静電反発力の場合、疎水粒子は反発し分散状態を保つ。

2.2 親水コロイドの安定性

親水コロイドは、疎水コロイドと異なりコロイド表面に水和層を有していることから疎水コロイドに比べ安定性が高い。疎水コロイドの場合、少量の電解質で拡散電気二重層が破壊され凝集するが、親水コロイドの場合、水和層を有するため、凝集させるためには多量の電解質が必要となる。なお、親水コロイドが多量の電解質により沈殿することを塩析という。

3 分散系の光学的性質

コロイド分散液に横から強い光をあてると、コロイド粒子により散乱された光により光の道が輝いて見えるチンダル現象が認められる。チンダル現象はコロイド分散系で認められるが、低分子溶液では認められない。光学顕微鏡では見えないコロイド粒子でも、チンダル現象を利用した限外顕微鏡によりコロイド粒子を観察することができる。

4 コロイド粒子の運動性

コロイド粒子は、分散媒と衝突し、不規則な運動を起こす。この運動をブラウン運動という。

5 コロイド粒子の透過性

コロイド粒子は、ろ紙を通過することができるが、半透膜を通過することはできない。

◇関連問題◇
第97回問49、第98回問174、第99回問48、第104回問171

-薬剤師国家試験出題項目

Copyright© yakugaku lab , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.