薬剤師国家試験出題項目

免疫学的検査

1 免疫グロブリン

(1)IgE
 IgEは免疫グロブリンの1種であり、マスト細胞や好塩基球の表面にあるIgE受容体に結合し、ケミカルメディエーターの遊離を促進する。

(2)IgA
 IgAは、局所免疫に関わっており、唾液、涙液、鼻汁、気道、消化管分泌液、乳汁などの高濃度で含まれている。

2 補体

 CH50(補体価)、C3(補体第3成分)、C4(補体第4成分)の数値により補体活性化経路を推察することができる。
CH50、C4が低値:古典経路の活性化
CH50、C3が低値:第2経路の活性化
CH50、C3、C4を同時に測定することが、補体異常疾患のスクリーニングおよび経過観察に用いられる。

3 抗体

1)抗核抗体

 抗核抗体とは、真核細胞の核内に含まれる様々な抗原性物質に対する抗体群の総称であり、膠原病が疑われた場合のスクリーニング検査として利用される。全身エリテマトーデス(SLE)、混合性結合組織病、全身性硬化症(SSc)、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、多発性筋炎で陽性となる。

 2)抗GAD抗体

 抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体(抗GAD抗体)は、膵β細胞などに存在する酵素グルタミン酸デカルボキシラーゼに対する自己抗体であり、自己免疫性1型糖尿病で高値を示す。抗GAD抗体は、自己免疫性1型糖尿病の診断、発症予防に用いられる。

 3)その他の抗体

4 感染症および炎症に関する検査

1)ASO、ASK

 ASOとは、A群β溶血性連鎖球菌が産生する菌体外毒素(ストレプトリジンO)に対する毒素中和抗体のことである。また、ASKとは、A群β溶血性連鎖球菌が産生するストレプトキナーゼに対する抗体のことである。ASO、ASKは、溶連菌感染症(扁桃腺炎、リウマチ熱、急性糸球体腎炎など)で高値を示す。

2)C反応性タンパク質

 C反応性タンパク質(CRP)は、C–reactive proteinの略であり、炎症時に増加するため、炎症巣の存在や炎症病変の程度を反映する。

3)赤血球沈降速度

 赤血球沈降速度(赤沈)は、抗凝固薬を加えた全血中の赤血球が自然凝集する速度のことである。赤血球の表面は陰性に荷電しており、炎症などにより血漿中に陽性電荷(グロブリン、フィブリノーゲン)が増加すると、赤血球の沈降速度が速くなる。また、血漿中の陰性電荷(アルブミン)が減少すると、赤血球の沈降速度が速くなる。

4)KL−6

 KL-6(シアル糖化抗原KL–6)は、間質性肺炎群に特異性が高い血清マーカーであり、特発性間質性肺炎や薬剤性間質性肺炎などの診断、経過観察に応用される。KL–6の増加が見られた場合には、胸部XP写真撮影や呼吸機能検査などを行い、間質性肺炎の確定診断を行う。

5)尿素呼気試験

 尿素呼気試験とは、胃内のヘリコバクター・ピロリ菌感染を調べる検査である。尿素呼気試験では、検査薬(13C–尿素)を服用し、服用前後の呼気を集めて診断する。胃内にピロリ菌が存在すると、そのウレアーゼ活性により13Cで標識された尿素は13CO2に速やかに分解され、呼気中に排泄される。このことから、13Cで標識された尿素を経口投与し、呼気中の13CO2を測定するば、胃内のヘリコバクター・ピロリ菌感染を間接的に証明することができる。

6)HBV核酸定量

 HBV核酸定量(B型肝炎ウイルスDNA定量)は、HBs抗原あるいはHBc抗体が陽性であった場合にHBV量の評価、B型肝炎の経過、抗ウイルス療法の適応の検討、治療効果判定する場合に行われる。

7)HCV−RNAセロタイプ

 C型肝炎ウイルス(HCV)はいくつかの型があり、その分類の方法として、遺伝子の塩基配列の類似性から分けたジェノタイプ(遺伝子型)と合成するタンパク質の違いから分けたセロタイプがある。C型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス薬の効果は、ジェノタイプ、セロタイプで異なるため、C型肝炎の治療を行う前に、ジェノタイプ検査やセロタイプ検査が行われる(ジェノタイプ検査は保険適応外であることから、一般にセロタイプ検査が行われる)。

8)結核菌特異タンパク質刺激性遊離インターフェロンγ

 結核菌に再び感染すると、T細胞よりインターフェロンγが産生される。このことを利用して、クォンティフェロンTB–2Gは、結核に特異的なタンパク質(ESAT–6、CFP–10)を抗原として、血中のT細胞を刺激し、インターフェロンγを定量する検査方法である。

9)ツベルクリン反応

 ツベルクリン反応は、ヒト型結核菌由来抗原を皮下に投与し、Ⅳ型アレルギーによる皮膚炎症反応を注射24〜48時間後に検査する方法である。皮膚の炎症が10mm以上で陽性と判定される。陽性と判定された場合は、「結核菌に感染している」または「BCG接種により結核に対する免疫がすでに成立している」と考えることができる。

5 腫瘍マーカー

 腫瘍マーカーとは、癌の進行と共に増加する生体内の物質のことであり、癌の種類、部位、進行度などを知る上で役に立つ。ただ、腫瘍マーカーは「癌以外でも、陽性になることがある」、「適当な腫瘍マーカーがない」、「臓器特異性の低いものがある」などのことから、腫瘍マーカーのみで悪性腫瘍性疾患の確定診断をすることはできない。

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