覚えること
- 交感神経興奮薬は、直接型・間接型・混合型に分けて整理する。
- 直接型では、まず「どの受容体を刺激する薬か」を判断する。
- α1刺激 → 血管収縮・散瞳が基本である。
- β1刺激 → 心機能亢進が基本である。
- β2刺激 → 気管支・血管・子宮などの平滑筋弛緩が基本である。
- β3刺激 → 膀胱排尿筋弛緩 → 蓄尿機能改善につながる。
- 間接型ではノルアドレナリンを増やす仕組み、混合型では直接作用+間接作用に注目する。
交感神経興奮薬の基本
交感神経興奮薬(アドレナリン作動薬)は、アドレナリン受容体を刺激する、または交感神経終末におけるノルアドレナリンの働きを強めることで、交感神経興奮作用を示す薬物である。
作用の仕方によって、次の3つに分類される。
- 直接型:アドレナリン受容体を直接刺激する。
- 間接型:交感神経終末に作用し、ノルアドレナリンを増加させることで間接的に受容体を刺激する。
- 混合型:受容体への直接作用とノルアドレナリンを介した間接作用の両方をもつ。
しもっち直接型なら次に「α1?β1?β2?β3?」を見る。この順番で整理すると、薬が増えてもかなり対応しやすくなるよ。
受容体から作用を考える
α1受容体
α1受容体は主に血管平滑筋や瞳孔散大筋などに存在する。
刺激されると、血管平滑筋が収縮して血圧が上昇し、瞳孔散大筋が収縮することで散瞳が起こる。
α1刺激 → 平滑筋収縮と考えると整理しやすい。
β1受容体
β1受容体は主に心臓に存在する。
刺激されると、心筋収縮力増強、心拍数増加、心拍出量増加などの心機能亢進作用が現れる。
β1刺激 → 心臓を強く・速く動かすと覚えるとよい。
β2受容体
β2受容体は、気管支、血管、子宮などの平滑筋に存在する。
刺激されると平滑筋が弛緩するため、気管支拡張、血管拡張、子宮収縮抑制などが現れる。
したがって、β2刺激 → 平滑筋弛緩を基本として考える。
β3受容体
膀胱排尿筋のβ3受容体を刺激すると、膀胱平滑筋が弛緩し、膀胱に尿をためやすくなる。
そのためβ3受容体刺激薬は、過活動膀胱の治療に用いられる。



α1 → 血管収縮
β1 → 心機能亢進
β2 → 平滑筋弛緩
β3 → 膀胱弛緩
薬物名を覚えるのは、この土台を作ってからでOKです。
直接型アドレナリン作動薬
α・β受容体刺激薬
アドレナリン
アドレナリンは、α1、α2、β1、β2受容体を刺激する。
作用の強さはおおむねα1=α2=β1=β2として整理する。
⚫️循環器系への作用
- β1刺激 → 心筋収縮力↑、心拍数↑ → 心機能亢進
- α1刺激 → 皮膚・内臓血管収縮
- β2刺激 → 骨格筋血管などを拡張
血管ではα1受容体とβ2受容体のどちらが多いかによって、収縮するか拡張するかが変化する。
⚫️血管以外への作用
β2受容体を刺激すると、気管支、消化管、子宮、膀胱などの平滑筋を弛緩させる。
また、瞳孔散大筋のα1受容体を刺激すると、瞳孔散大筋が収縮して散瞳する。
⚫️代謝への作用
アドレナリンはβ受容体刺激を介して、グリコーゲン分解や脂肪分解などにも関与する。
⚫️アドレナリンの血圧反転
アドレナリン単独ではα1受容体刺激による血管収縮作用が加わるため、血圧上昇が認められる。
しかし、あらかじめフェントラミンなどのα受容体遮断薬を投与しておくと、アドレナリンのα作用が現れなくなる。
その結果、β2受容体刺激による血管拡張作用が優位となり、血圧が低下する。
これをアドレナリンの血圧反転という。



ノルアドレナリン
ノルアドレナリンは、α作用が強く、β2作用は非常に弱いことが特徴である。
作用の強さは、α1 > α2 > β1 > β2として整理する。
そのため血管収縮作用が強く、血圧を上昇させる。
血圧上昇により圧受容体反射が起こると、迷走神経が活性化されて反射性徐脈を生じることがある。
エチレフリン
エチレフリンはα・β受容体を直接刺激し、末梢血管収縮や心機能亢進により血圧を上昇させる。
アドレナリン → β2作用あり→ 骨格筋血管拡張
→ α遮断後に血圧反転
ノルアドレナリン → β2作用が非常に弱い
→ 血管収縮が優位
「β2作用があるか?」に注目すると整理しやすいよ。
α1受容体刺激薬
代表薬には、ナファゾリン、フェニレフリン、ミドドリン、メトキサミンなどがある
α1受容体を刺激し、血管収縮作用や瞳孔散大筋収縮作用を示す。
ナファゾリン
ナファゾリンはα1受容体を刺激して局所の血管を収縮させる。そのため、眼や鼻粘膜などの充血・うっ血の改善に用いられる。
フェニレフリン
フェニレフリンはα1受容体を刺激し、血管収縮と瞳孔散大筋収縮を起こす。
血管収縮による昇圧作用や、診断・治療を目的とした散瞳などに用いられる。
ミドドリン
ミドドリンは末梢血管のα1受容体を刺激し、血管を収縮して血圧を上昇させる。
主に本態性低血圧、起立性低血圧などに用いられる。
⚫️α1刺激薬による反射性徐脈
α1受容体刺激により血管が収縮すると血圧が上昇する。
血圧上昇を圧受容体が感知すると迷走神経が反射的に活性化され、心拍数が低下することがある。
これを反射性徐脈という。
この徐脈は、迷走神経から放出されるアセチルコリンの作用によるため、ムスカリン受容体拮抗薬によって改善する。



血管収縮 → 血圧↑ → 圧受容体反射 → 迷走神経↑ → 徐脈という間接的な反応だよ。
非選択的β受容体刺激薬
代表薬には、イソプレナリン(イソプロテレノール)、イソクスプリンなどがある。
β1受容体とβ2受容体の両方を刺激する。
- β1刺激 → 心機能亢進
- β2刺激 → 気管支・血管・子宮平滑筋弛緩
β1受容体刺激薬
代表薬には、ドブタミン、デノパミンがある。
β1受容体刺激により、心筋収縮力を増強し、心拍出量を増加させる。
ドブタミン
ドブタミンは合成カテコールアミンであり、静脈内投与により急性循環不全などで心収縮力を増強する。
デノパミン
デノパミンは非カテコールアミンであり、経口投与可能なβ1受容体刺激薬である。
慢性心不全などに用いられる。



ドブタミン → 急性 → 静注
デノパミン → 慢性 → 経口
という違いまで押さえると問題を切りやすいよ。
β2受容体刺激薬
代表薬には、
サルブタモール、テルブタリン、プロカテロール、ツロブテロール、
サルメテロール、ホルモテロール、インダカテロール、リトドリン
などがある。
β2受容体刺激により、気管支、血管、子宮などの平滑筋を弛緩させる。
気管支への作用
気管支平滑筋を弛緩させることで気管支を拡張するため、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などに用いられる薬がある。
子宮への作用
リトドリンはβ2受容体を刺激して子宮平滑筋を弛緩させ、子宮収縮を抑制する。
β2刺激薬による低K血症
β2受容体を刺激すると、Na+/K+-ATPaseが活性化され、K+が細胞外から細胞内へ取り込まれる。
その結果、血清K+濃度が低下し、低カリウム血症を起こすことがある。
その他、振戦、頻脈、動悸などにも注意する。



Na+/K+-ATPase↑ → K+が細胞内へ移動 → 血清K+↓です。
「体内での移動」と考えるのがポイントだよ。
β3受容体刺激薬
代表薬には、ミラベグロン、ビベグロンがある。
膀胱排尿筋のβ3受容体を刺激して膀胱平滑筋を弛緩させ、膀胱に尿をためやすくする。
そのため、過活動膀胱に伴う尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁などの改善に用いられる。
間接型アドレナリン作動薬
アンフェタミン・メタンフェタミン
アンフェタミン、メタンフェタミンは、交感神経終末におけるノルアドレナリンの遊離を促進するとともに、モノアミンの働きを増強することで交感神経興奮作用を示す。
その結果、シナプス間隙のノルアドレナリン量が増加し、間接的にα・β受容体刺激作用を示す。
中枢興奮作用も強く、精神的依存、興奮、不眠、頻脈、血圧上昇などに注意する。
タキフィラキシー
間接型交感神経興奮薬の重要な特徴がタキフィラキシーである。
短時間に反復投与すると、交感神経終末に蓄えられているノルアドレナリンが急速に減少する。
その結果、同じ薬を投与しても作用が弱くなる。
間接型薬を反復投与→ノルアドレナリンを何度も遊離
→神経終末のノルアドレナリンが減少→薬を投与しても遊離できるノルアドレナリンが少ない
→作用が急速に弱くなる
アメジニウム
アメジニウムは、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害するとともに、モノアミンの分解を抑える方向に作用することで、交感神経機能を亢進する。主に本態性低血圧、起立性低血圧などに用いられる。
チラミン
チラミンは交感神経終末に取り込まれ、ノルアドレナリンの遊離を促進することで交感神経興奮作用を示す。
チラミンも反復して作用させるとタキフィラキシーを起こす。



受容体を直接刺激する薬は、神経終末のノルアドレナリンが減っても作用できます。
タキフィラキシー=間接作用を連想できるようにしておこう。
混合型アドレナリン作動薬
エフェドリン
エフェドリンは、アドレナリン受容体を直接刺激する作用と、交感神経終末からノルアドレナリンを遊離させる作用の両方を有する。
したがって、直接型+間接型=混合型として整理する。
また、生体膜を通過しやすく中枢作用も示すため、不眠、振戦、動悸、血圧上昇などに注意する。
エフェドリンは麻黄の有効成分としても重要である。



ノルアドレナリンを遊離するだけでもありません。「両方ある=混合型」を必ず押さえよう。
ドパミン
ドパミンは投与量によって刺激する受容体が変化することが特徴である。また、直接作用に加えてノルアドレナリン遊離促進作用も有する。
- 低用量 → D1受容体刺激 → 腎血管拡張
- 中用量 → β1受容体刺激 → 心機能亢進
- 高用量 → α1受容体刺激 → 血管収縮
急性循環不全などに用いられる。
国家試験での狙い目
- 交感神経興奮薬を直接型・間接型・混合型に分類できるようにする。
- α1刺激 → 血管収縮・散瞳を押さえる。
- β1刺激 → 心機能亢進を押さえる。
- β2刺激 → 気管支・血管・子宮平滑筋弛緩を押さえる。
- β3刺激 → 膀胱弛緩 → 過活動膀胱を押さえる。
- アドレナリン+α遮断薬 → 血圧反転を説明できるようにする。
- α1刺激による血圧上昇 → 圧受容体反射 → 徐脈を理解する。
- β2刺激 → Na+/K+-ATPase活性化 → 低K血症をつなげる。
- 間接型 → ノルアドレナリン遊離 → タキフィラキシーを押さえる。
- エフェドリン → 直接作用+間接作用 → 混合型を押さえる。
- ドパミン → 用量によってD1 → β1 → α1と作用が変化する。



① 直接・間接・混合のどれ?
② どの受容体?
③ その受容体はどの臓器にある?
④ 刺激すると収縮?弛緩?
この順番で考えると、知らない選択肢でもかなり切れるようになるよ。
1問1答で確認しよう
Q1.α1受容体を刺激すると、血管平滑筋はどうなる?
→ 収縮する。
Q2.β1受容体刺激による代表的な作用は?
→ 心機能亢進(心筋収縮力増強・心拍数増加など)。
Q3.β2受容体刺激により気管支平滑筋はどうなる?
→ 弛緩する。
Q4.アドレナリン投与前にα受容体遮断薬を投与すると起こる現象は?
→ アドレナリンの血圧反転。
Q5.α1受容体刺激によって反射性徐脈が起こる理由は?
→ 血圧上昇により圧受容体反射が起こり、迷走神経が活性化されるため。
Q6.β2受容体刺激薬で低K血症が起こる理由は?
→ Na+/K+-ATPaseが活性化され、K+が細胞内へ移動するため。
Q7.β3受容体刺激薬の代表薬は?
→ ミラベグロン、ビベグロン。
Q8.短時間の反復投与でタキフィラキシーを起こしやすいのは、直接型と間接型のどちら?
→ 間接型。
Q9.エフェドリンは作用形式によって何型に分類される?
→ 混合型。
Q10.ドパミンの中用量で主に刺激される受容体は?
→ β1受容体。



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