薬剤師国家試験出題項目

モーメント解析法

モーメント解析法は、薬物の体内動態を巨視的にとらえ、時間的広がりをもった確率過程であると考えて、統計学的手法により解析する方法である。コンパートメントモデルや生理学的モデルと異なりモデルを仮定しないことから、モデル非依存的解析ともいわれる。

1 モーメント解析法により得られるパラメータ

血中濃度時間曲線下面積と平均滞留時間を以下の式で表すことができる。

AUCは体内に存在する薬物量を表し、MRTは薬物が体内に存在する平均時間を表す。

2 1−コンパートメントモデルのパラメータとの対応

AUC及びMRTは、モデル非依存パラメータであり、モデルを仮定せず、血中濃度推移より算出することができる。また、1コンパートメントモデルで用いられているパラメータにより表すこともできる。

1)AUC:血中濃度時間曲線下面積

 AUCは、体内に移行した総未変化体量X0及び全身クリアランスCLtotにより以下のように表される。

2)MRT:平均滞留時間

  MRTは、速度定数により以下のように表される。
・消失過程のみが関与する場合(例:静脈内投与の場合)

・吸収過程及び消失過程が関与する場合(例:経口投与の場合)

3 消化管からの薬物の吸収過程に関するモーメント解析

経口投与時と静脈内投与した時のMRTの差より消化管からの吸収にかかる時間を算出することが可能である。この時間を平均吸収時間(MAT)という。

MAT=MRT経口-MRT静注

薬物の体内動態が1−コンパートメントモデルに従う場合、MATは下記の式により表される。

4 経口剤の剤型と平均滞留時間

 一般に錠剤を経口投与した場合と、溶液を経口投与した場合を比較すると、錠剤を経口投与した時の方が薬物が血液に到達するまでの時間が長くなる。これは、錠剤は、溶液と異なり吸収されるためには、崩壊と溶解に時間を要するからである。

錠剤が崩壊する平均時間をMDIT、粉末が溶出する平均時間をMDTとすると、錠剤のMRT、粉末のMRTは以下のように表すことができる。
MRT錠剤=MDIT+MDT+MRT溶液
 MRT粉末=MDT+MRT溶液

◇関連問題◇
第98回問47、第101回問172

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