メラニン細胞は、皮膚、毛髪、目(虹彩や網膜など)の色素形成を担う細胞であり、主にメラニンという色素を生成する役割を果たす。この細胞は皮膚の表皮基底層や毛包に存在し、紫外線(UV)から体を守る重要な働きを持つ。

特徴
- 形態
- メラニン細胞は樹状の形状を持ち、多数の突起を伸ばして周囲の角化細胞と接している。
- この突起を通じて、生成したメラニンを角化細胞に供給する。
- 局在
- 主に表皮の基底層に分布しており、一定の割合(約10~15%)で存在している。
- また、毛包、眼(虹彩や網膜)、内耳の蝸牛などにも存在する。
- 色素の産生
- メラニン細胞はメラノソームと呼ばれる細胞内小器官でメラニンを合成する。
- 合成されたメラニンは、突起を介して周囲の角化細胞に運ばれ、紫外線の保護を行う。
機能
- メラニンの生成
- チロシナーゼという酵素の働きによって、アミノ酸であるチロシンからメラニンが合成される。
- 紫外線からの防御
- メラニンは紫外線を吸収・分散し、DNAが損傷するのを防ぐ。
- 紫外線の刺激を受けると、メラニンの産生が促進され、皮膚が黒くなる(いわゆる日焼け)。
- 色素沈着の形成
- メラニンは角化細胞に取り込まれ、皮膚や毛髪の色を決定する。
- この色素沈着の程度は、遺伝的要因、ホルモン、紫外線の影響を受ける。
関連疾患
- 白斑(Vitiligo)
- メラニン細胞が局所的または広範囲に破壊されることで、皮膚や毛髪が白くなる疾患。
- 自己免疫反応が原因とされる。
- シミやそばかす
- 紫外線の影響や加齢により、メラニンが過剰に産生され、局所的な色素沈着を引き起こす。
- アルビノ(Albino)
- 遺伝的にメラニンが生成できない状態で、皮膚、毛髪、目が非常に薄い色になる。
- チロシナーゼの欠損が原因とされる。
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
- メラニン細胞が悪性化して発生する皮膚がん。
- 早期発見と治療が重要である。
紫外線応答とメラニン
紫外線を浴びると、メラニン細胞は紫外線を感知し、メラニンの産生を増加させる。この防御機構はDNA損傷を最小限に抑え、皮膚がんのリスクを軽減する重要な役割を果たしている。
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