プタキロシド（Ptaquiloside）

プタキロシド（Ptaquiloside）とは、シダ植物であるワラビ（Pteridium aquilinum）に含まれる発がん性物質である。特に、摂取した場合や長期的に曝露されることで、動物や人間において健康被害を引き起こすことが知られている。

化学的特徴

• 水溶性が高く、土壌や水系にも流出しやすい特性を持つため、環境中での影響も懸念されている。
• 化学構造上、不安定であり、加水分解により毒性を持つ化合物（アグリコン）を生成する。

毒性と健康影響

プタキロシドは、動物実験や疫学研究において発がん性が確認されている。以下のような影響が報告されている：

1. 発がん性
   • プタキロシドはDNAと反応し、遺伝子変異を引き起こす可能性がある。特に消化器系（胃や腸）や膀胱のがんリスクが指摘されている。
   • ワラビを頻繁に摂取する人々（特定地域の食文化など）や、家畜がワラビを摂取することで蓄積される毒性が懸念される。
2. 家畜への影響
   • ワラビを食べた家畜（牛や羊など）は、「ワラビ中毒」と呼ばれる中毒症状を発症する。
     貧血や出血、免疫低下などが見られる。
   • 特に牛において膀胱腫瘍の発生率が高まることが確認されている。
3. ヒトへの影響
   • プタキロシドを含むワラビの長期的な摂取が、胃腸がんや膀胱がんのリスクを増加させるとの報告がある。

環境への影響

• プタキロシドは、土壌や水系に浸出するため、周囲の環境にも広がる可能性がある。
• 流出したプタキロシドは、周辺の生態系や人間の水資源にも影響を与える可能性が指摘されている。

安全性と対策

1. 調理方法
   • ワラビは、適切な調理（アク抜きなど）を行うことでプタキロシド含有量を減少させることができる。しかし、完全に除去することは難しいとされる。
   • アク抜き後も、過剰摂取は避けるべきである。
2. 摂取量の制限
   • ワラビを食用とする場合、適量を守り、長期的な継続摂取を避ける。
3. 家畜管理
   • 家畜がワラビを摂取しないよう、放牧地の管理を徹底する。