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フリーラジカル(free radicals)

フリーラジカル(free radicals)とは、不対電子を持つ不安定で反応性の高い分子や原子のことを指す。不対電子とは、電子が対(ペア)を形成していない状態の電子のことである。フリーラジカルはこの不安定な状態を解消しようとするため、他の分子や原子と激しく反応する。

代表的なフリーラジカルには、酸素分子から生成されるものが多く、これらは活性酸素種(Reactive Oxygen Species; ROS)とも呼ばれる。

フリーラジカルの特徴

  1. 不安定で反応性が高い
    • 不対電子を持つため、他の分子や原子から電子を奪ったり、与えたりして安定化しようとする。この性質が原因で、生体内ではさまざまなダメージを引き起こすことがある。
  2. 種類が多い
    • フリーラジカルには、酸素由来のもの(スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカルなど)や窒素由来のもの(窒素ラジカルなど)がある。
  3. 短命
    • フリーラジカルは非常に不安定であるため、通常は短期間で反応し、新しい化合物を形成する。

フリーラジカルの発生源

フリーラジカルは、生体内外のさまざまな要因によって発生する。

体内での発生

  1. 代謝活動
    • ミトコンドリア内でのエネルギー代謝(電子伝達系)では、酸素を利用する過程で少量のフリーラジカル(スーパーオキシド)が生成される。
  2. 炎症
    • 免疫系の炎症反応では、病原体を攻撃するために活性酸素種(ROS)が産生される。
  3. 酵素反応
    • 一部の酵素反応でもフリーラジカルが副産物として生成されることがある。

外部要因

  1. 紫外線
    • 紫外線(UV)により、皮膚細胞内でフリーラジカルが発生する。
  2. 放射線
    • 放射線による分子の分解がフリーラジカルの生成を引き起こす。
  3. 大気汚染物質や化学物質
    • 煙草の煙、排気ガス、化学物質などもフリーラジカルの発生を促進する。

フリーラジカルの影響

ポジティブな側面

フリーラジカルは、適量であれば生体内で重要な役割を果たす。

  1. 免疫反応
    • フリーラジカルは、免疫細胞が病原体を攻撃する際に利用される。

ネガティブな側面

過剰に生成されたフリーラジカルは、細胞や組織にダメージを与えることがある。

  1. 酸化ストレス
    • フリーラジカルが細胞膜、DNA、タンパク質を酸化することで損傷を与え、老化や疾患(動脈硬化、がん、神経変性疾患など)の原因となる。
  2. 細胞死
    • フリーラジカルによる酸化ダメージが蓄積すると、アポトーシス(細胞の自然死)やネクローシス(壊死)を引き起こす。

フリーラジカルへの対策

フリーラジカルが過剰になるのを防ぐため、体内では抗酸化物質が活躍している。

抗酸化システム

  1. 酵素による防御
    • スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)
    • カタラーゼ(CAT)
    • グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)
  2. 抗酸化物質(非酵素)

生活習慣の改善

  • バランスの取れた食事
    • 抗酸化物質を多く含む食品(果物や野菜など)を摂取する。
  • 禁煙
    • 煙草はフリーラジカルを増加させる大きな要因となる。
  • 紫外線対策
    • 日焼け止めや防護服を使用することで紫外線によるフリーラジカルの発生を抑える。

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