フィブリノーゲンは、血漿中に存在する可溶性のタンパク質で、血液凝固の過程で重要な役割を果たす。フィブリノーゲンは、血液が凝固して血栓を形成するための前駆物質として機能し、最終的にフィブリンに変換され、止血作用を手助けする。
フィブリノーゲンの役割
- 血液凝固における役割
- フィブリノーゲンは、血液凝固カスケードの最終段階で活性化され、トロンビンの作用によってフィブリンに変換される。
- フィブリンは、凝固因子の働きによって繊維状の網目構造を形成し、血小板と一緒に血栓を作り、出血を止める。
- 血栓の形成
- フィブリノーゲンがトロンビンの作用でフィブリンモノマーに変換され、それらが互いに結合してフィブリンポリマーを形成する。
- このポリマーが血小板と絡み合い、傷口を塞ぐ血栓を形成する。
- 組織修復の促進
- フィブリン網は、傷口での細胞の移動を促し、組織修復を助ける足場を提供する。
フィブリノーゲンの異常
- フィブリノーゲンの欠乏症
- 先天性フィブリノーゲン欠乏症(低フィブリノーゲン血症):フィブリノーゲンが遺伝的に不足している場合、血液凝固が不十分になり、出血が止まりにくくなる。
- 後天性フィブリノーゲン欠乏症:肝疾患、DIC(播種性血管内凝固症候群)などが原因となり、フィブリノーゲンの濃度が低下する。
- フィブリノーゲン過剰症
- フィブリノーゲンが過剰に存在する状態は稀ですが、急性期反応物質として、感染や炎症などの際に一時的に上昇することがある。フィブリノーゲンはC反応性タンパク質(CRP)とともに急性期反応に関与する。
- 過剰なフィブリノーゲンが血栓形成のリスクを高める場合もある。
フィブリノーゲンの臨床的意義
- 凝固検査
- フィブリノーゲンの濃度は、血液凝固検査で評価される重要な指標の一つである。
- フィブリノーゲン測定(例えば、Clauss法)は、出血や血栓症のリスクを評価するために行われる。
- 急性期反応
- フィブリノーゲンは、炎症や感染症、外傷時に急性期反応物質として増加する。これにより、炎症の程度を評価するために使用されることがある。
- DIC(播種性血管内凝固症候群)
- DICのような血液凝固異常症では、フィブリノーゲンが消費されて低下し、出血と血栓が同時に発生することがある。このような病態では、フィブリノーゲン濃度の監視が重要である。




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