ヒスチジン(His, H)は、タンパク質を構成するアミノ酸の一つであり、化学式は C6H9N3O2 である。ヒスチジンは、必須アミノ酸として体内で十分な量を合成できないため、食事から摂取する必要がある。特に幼児や成長期には不可欠なアミノ酸とされてている。
構造と性質
- 構造:
- ヒスチジンの側鎖にはイミダゾール基(窒素を含む5員環)が含まれている。
- 性質:
- ヒスチジンは両性電解質であり、pHの変化に敏感に反応する。
- イミダゾール基のpKaが約6.0のため、生理的pH(約7.4)で部分的にプロトン化されている。
- 酸塩基のバッファー作用を持ち、体内のpH調節に寄与する。
生理的役割
- 酵素反応の補助:
- イミダゾール基の特性により、ヒスチジンは多くの酵素の活性部位で触媒作用に関与している。
- 酸塩基反応や電子のやり取りに重要な役割を果たす。
- ヘモグロビンとの関係:
- ヒスチジンはヘモグロビンの酸素結合に関与しており、酸素運搬機能を支える重要なアミノ酸である。
- 特に、ヘモグロビン内のヒスチジン残基は、酸素とヘム鉄の結合を安定化させる役割を担っている。
- ヒスタミンの前駆体:
- ヒスチジンは、免疫反応やアレルギー反応に関与する生理活性物質であるヒスタミンの前駆体である。
- ヒスタミンはヒスチジンが脱炭酸されることで生成される。
- タンパク質の構造安定性:
- イミダゾール基の特性は、タンパク質の構造を安定化させるのに寄与し、特定の分子間相互作用に重要である。
- 金属イオンの結合:
- ヒスチジンは、金属イオン(亜鉛、鉄、銅など)と結合する能力を持ち、金属酵素の構造安定性や機能に関与する。
食品と栄養
- ヒスチジンを多く含む食品:
- 肉類(特に鶏肉や豚肉)
- 魚類(サケやマグロ)
- 大豆製品(豆腐や納豆)
- 乳製品(チーズ、牛乳)
- 全粒穀物やナッツ類
- 健康効果:
- ヒスチジンは成長促進や組織修復に重要である。
- ヒスタミン生成に関連するため、免疫反応や消化活動に寄与する。





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