パキシル錠5mg、10mg、20mg(パロキセチン塩酸塩水和物)

名称

商品名:パキシル
一般名:パロキセチン塩酸塩水和物


剤形、規格

錠:5mg、10mg、20mg


構造


薬効分類

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)


薬効薬理・作用機序

パロキセチン塩酸塩は、選択的にセロトニン(5−HT)の取り込みを抑制し、シナプス間隙の5−HT濃度を上昇させる。パロキセチン塩酸塩を反復投与すると5−HT2C受容体のdown−regulationが誘発されることにより、抗うつ作用、抗不安作用を示すと考えられている。

①セロトニントランスポーターからのセロトニンの再取り込みを選択的に抑制する。
②セロトニンの濃度が増加することにより、5−HT2C受容体(刺激されることで抑うつが誘発される受容体)のdown−regulationが誘発される。

下田武

また、パロキセチンの抗不安作用、抗うつ作用については以下のように考えることができます(まだ明確になっていないため、あくまで仮説です)。

シナプス間隙にセロトニンが増加すると、5−HT1A受容体(刺激されることにより抗不安作用を示す受容体)が刺激され抗不安作用を示しますが、5−HT2C受容体(刺激されることで抑うつが誘発される受容体)が刺激されることでうつが誘発される。そのため、投与初期においては、気持ちが安定しないことがある。
ただ、本剤を反復投与すると、5−HT2C受容体のdown−regulationが誘発されるため、抗不安作用、抗うつ作用が現れる。


適応症、服用方法、使用方法

うつ病・うつ状態
通常、成人には1日1回夕食後、20〜40mgを経口投与する。
投与は1回10〜20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。
なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する

・パニック障害
通常、成人には1日1回夕食後、30mgを経口投与する。
投与は1回10mgより開始し、原則として1
週ごとに10mg/日ずつ増量する。
なお、症状により1日30mgを超えない範囲で適宜増減する。

・強迫性障害
通常、成人には1日1回夕食後、40mgを経口投与する。
投与は1回20mgより開始し、原則として
1週ごとに10mg/日ずつ増量する。
なお、症状により1日50mgを超えない範囲で適宜増減する。

・社会不安障害
通常、成人には1日1回夕食後、20mgを経口投与する。
投与は1回10mgより開始し、原則として
1週ごとに10mg/日ずつ増量する。
なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。

・外傷後ストレス障害
通常、成人には1日1回夕食後、20mgを経口投与する。
投与は1回10〜20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。
なお、症状により
1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。


警告

海外で実施した7〜18歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告、また、自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので、本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。


使用できない場合(禁忌)

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者
・ピモジドを投与中の患者


使用するにあたっての注意事項

・自動車の運転、高所での作業等を行う予定はあるか。
(注意力、集中力、反射機能等の低下が起こることがある。)

・不安、焦燥、興奮、パニック発作等が認められていないか。
(不安、焦燥、興奮、パニック発作等が認められることがある。また、それらの症状が認められた患者において、基礎疾患の悪化、自殺念慮等が報告されている。)

・若年成人に投与されていないか。
(若年成人において自殺行為のリスクが高くなることがある。)

・突然の中止及び急激な減量を行なっていないか。


副作用

<主な副作用>
倦怠感、傾眠、めまい、頭痛、不眠、嘔気、便秘、食欲不振、腹痛、口渇、嘔吐、下痢、肝機能検査値異常、性機能異常など

下田武

承認時の臨床試験において、主な副作用は傾眠(23.6%)、嘔気(18.8%)、めまい(12.8%)、頭痛(9.3%)、肝機能検査異常(8.4%)、便秘(7.9%)とされています。

<重大な副作用>
・セロトニン症候群
・悪性症候群
・錯乱、幻覚、せん妄、痙攣
・中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑
・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
・重篤な肝機能障害
・横紋筋融解症
・汎血球減少症、無顆粒球症、白血球減少症、血小板減少
・アナフィラキシー

下田武

本剤では、重大な副作用としてセロトニン症候群を起こすことがあります。
早期に副作用であるセロトニン症候群を発見するために、セロトニン症候群の初期症状について把握しておきましょう。
<セロトニン症候群の初期症状>
不安、焦燥、興奮、錯乱、幻覚、発汗、頻脈、振戦など


体内動態

主にCYP2D6で代謝される。また、CYP2D6の阻害作用を示す。


飲み合わせ(相互作用)

<併用禁忌>
・MAO阻害剤
セロトニン症候群が現れることがある。
・ピモジド
QT延長、心室性不整脈等の重篤な心臓血管系の副作用が現れることがある。

<併用注意>
・セロトニン作用を有する薬剤
・メチルチオニウム塩化物水和物
セロトニン症候群が現れることがある。

・フェノチアジン系抗精神病剤
・リスペリドン
・三環系抗うつ剤
・抗不整脈剤
・β−遮断剤
・アトモキセチン
・タモキシフェン
本剤のCYP2D6阻害作用により、上記の薬剤の作用が増強することがある。

・キニジン、シメチジン
これらの薬剤の肝薬物代謝酵素阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇することがある。

・フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、リファンピシン
これらの薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の血中濃度が上昇することがある。

・ホスアンプレナビルとリトナビルの併用時
本剤の作用が減弱することがある。

・ワルファリン
ワルファリンの作用が増強されるおそれがある。

・ジゴキシン
ジゴキシンの作用が減弱するおそれがある。

・止血、血液凝固阻止する薬
・出血症状の報告のある薬剤
出血傾向が増強するおそれがある。

・アルコール
飲酒を避けることが望ましい。


(注意事項)
作成日時の時点における医薬品情報を使用して作成しております。
医薬品を使用する前には、必ず最新の添付文書を確認するようにしてください。