ドライケミストリー

ドライケミストリー

ドライケミストリーは、乾燥状態にある分析試薬に、液状の生体試料(尿、血液など)を接触させることにより、生体試料に含まれる物質を分析する方法である。ドライケミストリーは、試料の調製が不要で迅速かつ簡便に高精度の分析が可能であり、医療現場において多用されている。

<ドライケミストリーの特徴>
・試料が乾燥状態で存在しており、安定である
・生体試料中の水分を溶媒とするため、溶媒を必要としない
・溶媒を使用しないことから、廃液が生じない
・わずかな試料で分析が可能である
・ベットサイドでの検査が可能である

1 ドライケミストリーの分類

 ドライケミストリーは、主に試験紙法、多層フィルム法、イムノクロマト法に分けられる。

 1)試験紙法 

 試験紙法は、検査試薬を貼付した試験紙を用いて分析する方法であり、主に尿検査に用いられている。試験紙法による尿検査では、pH、タンパク質、グルコース、ケトン体、ウロビリノーゲン、ビリルビン、潜血、比重などを調べることが可能である。

2)多層フィルム法 

 多層フィルム法は、試験紙法と異なり、展開層、反射層、試薬層、支持体が層状に重なった多層分析フィルムを用いる方法である。多層分析フィルムに液体試料を滴下すると、展開層で試料が均一に拡散し、その後、反射層へ浸透する。反射層は試料に含まれる有色物質による影響や濁りなど光化学的な干渉を排除する。試料溶液は最終的に試薬層に到達し、発色試薬と反応することにより色調変化を起こす。この色調変化を反射光分析することで測定対象物を検出する。

3)イムノクロマト法 

 イムノクロマトグラフィーは、ろ紙クロマトグラフィーと抗原抗体反応の原理を応用した免疫学的分析法である。イムノクロマトグラフィーの測定原理について以下に示す。

サンプルパッドに検体を滴下すると、検体に含まれる測定対象物質(抗原)がコンジュゲートパッドに含まれる抗体(抗原を特異的に認識する色素や酵素で標識された抗体)と結合する。その後、抗原と抗体の免疫複合体は、毛細管現象により判定ラインまで移動し、膜上に固定された抗体(抗原を特異的に認識する抗体)に捕捉される。判定ラインで生成されたサンドイッチ型複合体による呈色により、測定対象物の有無や量がわかる。

判定ラインを通過した、抗原と反応しなかった色素標識抗体は、コントロールラインまで移動し、膜上に固定された抗体(色素標識抗体を特異的に認識する抗体)に捕捉される。コントロールラインで呈色が認められることにより、検査が正常に終了したことが確認できる。

●インフルエンザウイルスキッド
本キット検体には、酵素や色素で標識されたモノクローナル抗体が含有されており、検体を滴下すると、インフルエンザウイルスが存在する場合には、標識抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体がインフルエンザウイルスと結合する。
それらは、展開液により膜上を移動し、インフルエンザウイルスが存在する場合には、膜上に固定された抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体と結合し、検体中のインフルエンザウイルスを介するサンドイッチ複合体を形成し、発色する。

関連問題
第103回 問204

テキスト
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