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ドウモイ酸(Domoic Acid)

ドウモイ酸(Domoic Acid)は、神経毒性を有する自然界のアミノ酸の一種であり、特に海洋プランクトンの一部である渦鞭毛藻や珪藻(例: Pseudo-nitzschia 属)によって産生される。ドウモイ酸は、動物や人間に対して強い神経毒作用を示す。

毒性のメカニズム

  1. グルタミン酸受容体への作用:
    • ドウモイ酸は、中枢神経系および末梢神経系におけるグルタミン酸受容体(特にAMPAおよびカイニン酸型受容体)に高い親和性を有している。
    • 過剰な受容体の活性化によって、神経細胞内にカルシウムイオンが過剰に流入し、興奮毒性を引き起こす。
  2. 神経細胞死:
    • 興奮毒性は神経細胞の損傷や死をもたらし、記憶喪失や痙攣などの神経症状を引き起こす。

毒性の発生源と経路

  • 毒性の発生源:
    • 主に海洋プランクトン(Pseudo-nitzschia 属の珪藻など)がドウモイ酸を産生する。
  • 食物連鎖による蓄積:
    • ドウモイ酸は、貝類(ムール貝、ホタテガイ、ムラサキイガイなど)の体内に蓄積される。これらを人間や他の動物が摂取することで中毒症状が発生する。

健康への影響

  1. 急性中毒症状:
    • 人間においては、ドウモイ酸を摂取すると健忘性貝毒(ASP)が発症することがある。
    • 主な症状:
      • 消化器系: 嘔吐、下痢、腹痛
      • 神経系: 記憶喪失、一過性の健忘症、頭痛、混乱、痙攣、昏睡
  2. 長期的影響:
    • 重篤な場合、不可逆的な記憶障害や神経障害を引き起こす可能性がある。

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