ドウモイ酸(Domoic Acid)は、神経毒性を有する自然界のアミノ酸の一種であり、特に海洋プランクトンの一部である渦鞭毛藻や珪藻(例: Pseudo-nitzschia 属)によって産生される。ドウモイ酸は、動物や人間に対して強い神経毒作用を示す。
毒性のメカニズム
- グルタミン酸受容体への作用:
- ドウモイ酸は、中枢神経系および末梢神経系におけるグルタミン酸受容体(特にAMPAおよびカイニン酸型受容体)に高い親和性を有している。
- 過剰な受容体の活性化によって、神経細胞内にカルシウムイオンが過剰に流入し、興奮毒性を引き起こす。
- 神経細胞死:
- 興奮毒性は神経細胞の損傷や死をもたらし、記憶喪失や痙攣などの神経症状を引き起こす。
毒性の発生源と経路
- 毒性の発生源:
- 主に海洋プランクトン(Pseudo-nitzschia 属の珪藻など)がドウモイ酸を産生する。
- 食物連鎖による蓄積:
- ドウモイ酸は、貝類(ムール貝、ホタテガイ、ムラサキイガイなど)の体内に蓄積される。これらを人間や他の動物が摂取することで中毒症状が発生する。
健康への影響
- 急性中毒症状:
- 人間においては、ドウモイ酸を摂取すると健忘性貝毒(ASP)が発症することがある。
- 主な症状:
- 消化器系: 嘔吐、下痢、腹痛
- 神経系: 記憶喪失、一過性の健忘症、頭痛、混乱、痙攣、昏睡
- 長期的影響:
- 重篤な場合、不可逆的な記憶障害や神経障害を引き起こす可能性がある。




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