トロンボプラスチンは、血液凝固における重要な役割を果たす物質で、血液が固まるプロセスを促進するために必要な酵素複合体の一部である。特に、外因性凝固経路の開始に関与する。トロンボプラスチンは、組織因子(TF: Tissue Factor)とも呼ばれるタンパク質を含む物質であり、傷が生じた際に血液凝固カスケードを迅速に起動させる役割を有する。
トロンボプラスチンの特徴と機能
- 構成:
- トロンボプラスチンは、組織因子(TF)と、細胞膜のリン脂質、そしてカルシウムイオン(Ca2+)と共に形成される複合体として機能する。
- 組織因子は、細胞膜に埋め込まれた膜結合型のタンパク質である。
- 外因性凝固経路の役割:
- 組織因子が損傷部位で血漿中の第Ⅶ因子と結合し、これを活性化(Ⅶa)する。
- 活性化されたⅦaは、第X因子を活性化し、プロトロンビン(第II因子)の変換を促進する最終段階へ導く。
- これにより、フィブリン(Fibrin)が形成され、傷口を塞ぐ血栓が作られる。
- 迅速な反応:
- トロンボプラスチンは傷害時に速やかに凝固カスケードを開始し、大量の血液流出を防ぐ防御機構の一部である。
トロンボプラスチンと医療
- プロトロンビン時間(PT)検査:
- トロンボプラスチンは、プロトロンビン時間(PT)を測定するための試薬として使用される。
- PTは血液の凝固能力を評価する検査であり、外因性経路の異常を確認するために使用される。
- 抗凝固薬(例:ワルファリン)の効果モニタリングにも利用される。
- 合成トロンボプラスチン:
- 現在では、実験室で合成されたトロンボプラスチンが検査用に広く使用される。
トロンボプラスチンと関連疾患
- 過剰な活性化:
- トロンボプラスチンの過剰な活性化は、血液凝固が過度に進行し、血栓症や塞栓症のリスクを高める可能性がある。
- 欠乏や異常:
- トロンボプラスチン(またはその関連因子)が欠乏している場合、出血傾向(止血困難)が見られることがある。




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