チロシンは、タンパク質を構成するアミノ酸の1つで、芳香族アミノ酸に分類される。非必須アミノ酸として知られ、体内でフェニルアラニンから合成される。化学式は C9H11NO3 で、側鎖にフェノール基(芳香族ヒドロキシ基)を有する。
構造と性質
- 構造:
- α-アミノ酸であり、中央の炭素に以下が結合している:
- アミノ基(-NH2)
- カルボキシル基(-COOH)
- 水素原子
- フェノール基を持つ芳香族側鎖
- α-アミノ酸であり、中央の炭素に以下が結合している:
- 極性:
- 側鎖にフェノール基を持つため、チロシンは極性を有し、水素結合の形成に寄与する。
生理的役割
- タンパク質の構成要素:
- チロシンは、多くのタンパク質や酵素の重要な構成成分で、特に細胞のシグナル伝達に関わるタンパク質中で重要な役割を果たす。
- 神経伝達物質の前駆体:
- チロシンは、以下のカテコールアミンと呼ばれる神経伝達物質の合成に関与しする:
- ドーパミン:快感や運動制御に関与
- ノルアドレナリン:ストレス応答や覚醒に寄与
- アドレナリン:心拍数や血圧の調節
- チロシンは、以下のカテコールアミンと呼ばれる神経伝達物質の合成に関与しする:
- ホルモンの前駆体:
- チロシンは、甲状腺ホルモン(チロキシン、トリヨードチロニン)およびメラニン色素の前駆物質としても重要である。
- 酵素活性の調節:
- チロシンは、一部の酵素においてリン酸化されることで、細胞内シグナル伝達を制御する(チロシンキナーゼによるリン酸化反応)。
代謝
- フェニルアラニンからの合成:
- フェニルアラニン水酸化酵素(PAH)の作用により、チロシンはフェニルアラニンから合成される。
- 代謝経路:
- チロシンは体内で以下の物質に変換され、さまざまな生理機能を果たす:
- ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン
- 甲状腺ホルモン
- メラニン
- チロシンは体内で以下の物質に変換され、さまざまな生理機能を果たす:
- 代謝異常:
- フェニルアラニンがチロシンに変換されない場合、フェニルケトン尿症(PKU)という代謝異常が発生する。
栄養学的特徴
- 非必須アミノ酸:
- チロシンは体内で合成可能であるため、必須アミノ酸ではありませんが、特定の条件下(フェニルアラニンの不足や代謝異常)では、外部からの摂取が必要になることがある。
- 食品中の供給源:
- 主に高タンパク質食品(肉類、魚類、卵、乳製品、大豆製品)に含まれています。





コメント