糖尿病治療では、体調不良時の対応であるシックデイと、血糖値が低下したときの低血糖への対応を理解しておくことが重要である。
覚えること
- シックデイ:発熱・下痢・嘔吐・食欲不振などで十分に食事がとれない状態
- シックデイでは、ストレスホルモンの影響などにより高血糖になりやすい
- 自己判断でインスリンを中断しない
- 脱水予防のために水分を十分に摂取する
- 血糖値・尿中ケトン体などをこまめに確認する
- 低血糖:血糖値70 mg/dL以下を目安に考える
- 低血糖では、初期に動悸・頻脈・発汗・振戦などの交感神経症状がみられる
- さらに低下すると頭痛・けいれん・意識レベル低下などの中枢神経症状が現れる
シックデイとは
糖尿病患者が感染症などに罹患し、発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などによって十分に食事がとれない状態をシックデイという。シックデイでは、ストレスホルモンの分泌増加により肝臓での糖新生などが促進され、食事量が減っていても高血糖になりやすい。また、脱水やインスリン作用の不足によってケトン体が増加することもある。
シックデイで大切なこと
- 自己判断でインスリンや糖尿病治療薬を中断しない
- 十分な水分を摂取し、脱水を防ぐ
- 食欲がない場合でも、可能な範囲で消化のよい食物や炭水化物を摂取する
- 血糖値をこまめに測定する
- 必要に応じて尿中ケトン体を確認する
- 症状の悪化、著しい高血糖、嘔吐の持続などがある場合は早めに医療機関へ相談する
しもっちシックデイでは「食べられないから薬を全部止める」と考えないことが重要です。特にインスリン治療中では、自己判断で中断すると高血糖やケトアシドーシスにつながる可能性があります。
シックデイ時の薬物療法
シックデイ時の薬剤調整は、食事摂取量、脱水、血糖値、腎機能などを考慮して行う。薬剤によって対応が異なるため、患者が自己判断で中止・継続を決めるのではなく、あらかじめ指示されたシックデイルールに従うことが重要である。
| 薬剤 | シックデイでの考え方 |
|---|---|
| インスリン | 自己判断で中断しない。血糖値・食事量・ケトン体などを確認しながら調整する |
| インスリン分泌促進薬 | 食事摂取不良では低血糖に注意し、医療機関へ相談する |
| α-グルコシダーゼ阻害薬 | 消化器症状が強い場合には中止を検討する |
| ビグアナイド薬 | 脱水・乳酸アシドーシスのリスクを考慮し、シックデイでは中止を検討する |
| SGLT2阻害薬 | 脱水・ケトアシドーシスのリスクを考慮し、シックデイでは中止を検討する |
低血糖
低血糖とは、一般に血糖値が70 mg/dL以下に低下した状態をいう。糖尿病患者では、インスリン製剤やインスリン分泌促進薬の使用、食事量の不足、運動量の増加などによって起こる。
低血糖の原因
- インスリン製剤の過量投与
- SU薬などインスリン分泌促進薬の使用
- 食事量不足・食事時間の遅れ
- 過度な運動
- 飲酒など
低血糖の症状
| 分類 | 主な症状 |
|---|---|
| 交感神経症状 | 動悸、頻脈、発汗、振戦など |
| 中枢神経症状 | 頭痛、けいれん、意識レベル低下、昏睡など |
血糖値が低下すると交感神経系が興奮し、ノルアドレナリンやアドレナリンの作用によって肝グリコーゲン分解などが促進され、血糖値を回復させようとする。この交感神経系の興奮が、動悸、頻脈、発汗、振戦などの症状にも関与する。



低血糖では、まず交感神経症状が現れ、さらに血糖が低下すると中枢神経症状が現れる、と流れで覚えましょう。
低血糖時の対応
- 意識がある場合:ブドウ糖10〜20 gを摂取する
- 意識障害などで経口摂取できない場合:医療機関でブドウ糖静注やグルカゴン投与などを行う
- 原因となったインスリン量、薬剤、食事量、運動量などを確認し、再発防止につなげる
国家試験での狙い目
- 発熱・下痢・嘔吐・食欲不振 → シックデイ
- シックデイでは、自己判断でインスリンを中断しない
- シックデイでは、水分摂取・血糖測定・ケトン体測定が重要
- 血糖値70 mg/dL以下 → 低血糖
- 動悸・頻脈・発汗・振戦 → 交感神経症状
- 頭痛・けいれん・意識レベル低下 → 中枢神経症状
- 意識がある低血糖では、ブドウ糖を摂取する
- β受容体遮断薬では、低血糖時の交感神経症状が現れにくくなることがある



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