シクレスト舌下錠5mg、10mg(アセナピンマレイン酸塩)

名称

商品名:シクレスト舌下錠
一般名:アセナピンマレイン酸塩舌下錠

剤型・規格

舌下錠:5mg、10mg

<参考:舌下錠である理由>
経口投与により初回通過効果を受けやすく、生物学的利用率が低いことから舌下錠として開発された。

構造

薬効分類

●多元受容体作用抗精神病薬

薬効薬理・作用機序

アセナピンは、セロトニン受容体の幅広いサブタイプ(5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2B、 5-HT2C、5-HT6、5-HT7)に加え、ドパミン受容体(D1、D2、 D3)、アドレナリン受容体(α1A、α2A、α2B、α2C)及びヒスタミン受容体(H1、H2)に対して高い親和性を示す。
一方で、ムスカリン受容体及びβ受容体への親和性は低い。
アセナピンは上記の受容体に対してin vitroで拮抗作用を示したが、in vivoでは5-HT1A受容体に対して刺激作用を有することが示唆された。

上記の作用により、アセナピンは統合失調症の陽性症状、情動的引きこもり、情動の平板化などの陰性症状、不安、抑うつ症状を改善する。

適応症、服用方法、使用方法

●統合失調症
通常、成人にはアセナピンとして1回5 mgを1日2回舌下投与から投与を開始する。
なお、維持用量は1回5 mgを1日2回、最高用量は1回10mgを1日2回までとするが、年齢、症状に応じ適宜増減すること。

禁忌

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

・昏睡状態の患者
[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]

・バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者
[中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。]

・アドレナリンを投与中の患者
(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)

・重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
[血中濃度が上昇することがある。]

体内動態

UDP1A4を介したグルクロン酸抱合及びCYP1A2を介した酸化を受け、一部はCYP2D6及びCYP3A4によっても代謝されることが示唆される。

相互作用

1)薬力学的相互作用

・アドレナリン(併用禁忌)
(アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)

本剤のα受容体遮断作用により、アドレナリンのβ作用が優位となり血圧降下が増強される。

・中枢神経抑制剤、アルコール
中枢神経抑制作用が強く現れることがある。

・ドパミン作動薬
本剤のドパミン受容体遮断作用により相互に作用が減弱するおそれがある。

・降圧薬
降圧作用が増強するおそれがある。

・抗コリン作用を有する薬剤
抗コリン作用が増強されるおそれがある。

2)薬物動態学的相互作用

・CYP1A2阻害剤(フルボキサミン等)
本剤の代謝が阻害され、作用が増強するおそれがある。

・パロキセチン
パロキセチンのCYP2D6阻害作用を増強する可能性がある。

副作用

1)主な副作用

傾眠、口の感覚鈍麻、アカシジア、錐体外路症状、体重増加、不動性めまい など

2)重大な副作用

・悪性症候群
発熱、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、嚥下困難、CK上昇などが認められることがある。
体冷却、水分補給等の全身管理を行うと共に適切な処置を行うこと。

・遅発性ジスキネジア
口周辺部等の不随意運動などが認められることがある。
症状が現れた場合は減量または中止を検討する。

・肝機能障害
AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害が現れることがある。
観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。

・ショック、アナフィラキシー
呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹などが認められることがある。
不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

・舌腫脹、咽頭浮腫
舌腫脹、咽頭浮腫があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与 を中止するなど適切な処置を行うこと。
なお、嚥下 障害、呼吸困難等を伴うことがあるので注意すること。

・高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡
口渇、多飲、多尿、頻尿等が認められることがある。
異常が認められた場合には、インスリンを投与するなど適切な処置を行うこと。

・低血糖
低血糖症状(強い空腹感、めまい、ふらつき、振戦など)が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

・横紋筋融解症
全身倦怠感、ミオグロビン尿、CK上昇などを伴うことがある。
異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

・無顆粒球症、白血球減少症
発熱、咽頭痛などの感冒様症状が認められることがある。
異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

・肺塞栓症、深部静脈血栓症
息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫などが認められることがある。
これらの症状が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

・痙攣
異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

・麻痺性イレウス
食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満感などが認められることがある。
腸管麻痺が認められた場合には、投与を中止すること。

補足

・舌下錠であり、舌に対して刺激がある。
・投与中に高血糖や糖尿病の悪化があらわれ糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるため、高血糖症状の有無を確認しながら慎重に投与する必要がある。
・体重変動をきたすことがあるため、本剤投与中は体重推移を観察する必要がある。
・体重増加、代謝異常を起こすことがあるが、それらの副作用は他の多元受容体作用抗精神病薬に比べ、軽度であるとされている。
・初回から維持用量である1回5mg1日2回投与が可能である。
・眠気、注意力、集中力の低下が認められることがあるため、自動車の運転等には従事させないように注意する必要がある。


(注意事項)
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