クロルヘキシジングルコン酸塩は、陽イオン界面活性剤系の消毒薬である。特に一般細菌などに効果が認められるが、芽胞形成菌、ウイルスには効果が期待できない。
1. 化学的性質
- 化学式:C₂₂H₃₀Cl₂N₁₀·2C₆H₁₂O₇
- 分子量:897.77 g/mol
- 構造:
- クロルヘキシジン(Chlorhexidine)は、ビグアニド系化合物に分類される。
- グルコン酸(Gluconate)と結合することで水溶性が向上し、消毒薬としての使用が可能になる。
2. 作用機序
クロルヘキシジングルコン酸塩は、陽イオン界面活性剤として以下のようなメカニズムで細菌の細胞膜を障害し、殺菌作用を示す。
- 細胞膜への結合
- クロルヘキシジンは細菌の細胞膜(陰イオン)と相互作用し、膜の構造を不安定化させる。
- 細胞膜の破壊
- 細胞膜の透過性が変化し、細胞内成分(核酸・タンパク質など)が漏出する。
- 殺菌・静菌作用
- 最終的に細胞は破裂し、死滅する。
- 濃度によって殺菌(高濃度)または静菌(低濃度)作用を示す。
3. 抗菌スペクトル
✅ 効果が強い
- グラム陽性菌(Staphylococcus aureus など)
- グラム陰性菌(Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa など)
- 真菌(Candida属など)
⚠ 効果なし
- ウイルス(エンベロープを持たないウイルスには無効)
- 芽胞形成菌
- 結核菌
4. 用途
クロルヘキシジングルコン酸塩は、医療・衛生分野で幅広く使用されている。
① 皮膚消毒
- 手術前の皮膚消毒
- 手指消毒剤(手術室・病棟での使用)
② 創傷・粘膜の消毒
- 外傷部位の消毒(ただし、広範囲使用は避けるべき)
- カテーテル・医療機器の消毒
コメント