キチン（Chitin）

キチンは、動物や真菌、昆虫の外骨格や甲殻、真菌の細胞壁に存在する多糖類であり、グリコサミノグリカン（GAG）の一種である。化学的には、N-アセチルグルコサミン（GlcNAc）という単糖がβ-1,4結合で繰り返し結びついて構成される。キチンは自然界で最も豊富に存在する多糖類の一つで、セルロースに次いで重要な構造的な多糖である。

構造と性質

• 化学構造:
  キチンは、グルコサミン（N-アセチルグルコサミン）の単位が繰り返し結びついてできた直鎖状の多糖である。これは、セルロースに似た構造を持っているが、グルコサミン部分がアセチル化されている点が異なる。
• 性質:
  キチンは非常に強靭で硬い性質を持っており、昆虫や甲殻類などの外骨格において重要な役割を果たしている。また、水に溶けにくく、化学的に安定しているため、自然環境での耐久性が高い。

生理的役割

1. 外骨格:
   キチンは昆虫、甲殻類（エビ、カニなど）の外骨格や外皮の主成分であり、これらの生物にとって強固な保護機能を持つ構造を提供する。これにより、外部の衝撃や乾燥から生物を保護する。
2. 真菌の細胞壁:
   キチンは、真菌（キノコやカビ）の細胞壁の主要成分としても存在し、真菌の構造を支える役割を果たす。