薬剤師国家試験出題項目

ガスクロマトグラフィー

1 ガスクロマトグラフィー

 ガスクロマトグラフィーとは、移動相に気体を用いるクロマトグラフィーのことである。ガスクロマトグラフィーの装置の概要を以下に示す。

ガスクロマトグラフィーでは、移動相としてキャリアーガスといわれる不活性ガス(窒素ガス、ヘリウム、アルゴンなど)が用いられており、カラムには充填カラムやキャピラリーカラムが用いられている。充填カラムは、内径1〜3mm、長さ数メートルのガラスやステンレスの細管に固定相として吸着剤粒子や不揮発性の液体を塗布した不活性担体粒子が充填されている。それに対して、キャピラリーカラムは、内径0.3mm、長さ数十メートルの毛細管に固定相として不揮発性の液体が塗布されてる。なお、固定相に不揮発性液体を用いた場合を「気−液クロマトグラフィー」といい、固定相に吸着剤や不揮発性担体を用いた場合を「気−固クロマトグラフィー」という。

<充填カラムとキャピラリーカラムの比較>

 充填カラムとキャピラリーカラムでは、内径、長さ、分離能が異なる。次に充填カラムとキャピラリーカラムの違いについてまとめる。
内径:充填カラム>キャピラリーカラム
長さ:充填カラム<キャピラリーカラム
分離能:充填カラム<キャピラリーカラム

ガスクロマトグラフィーを用いて物質を分離精製する場合には、試料を気体にする必要がある。そのため、ガスクロマトグラフィーにより揮発性の低い物質を分析したい場合には、分析する前に化合物を揮発性物質へ誘導体化する必要がある。ガスクロマトグラフィーのおける試料の誘導体化の方法を以下にまとめる。

ガスクロマトグラフィーでは、液体クロマトグラフィーと同様に保持時間を用いて成分の同定を行うことが可能であり、また、ピーク高さやピーク面積より各成分の定量を行うことが可能である。
ガスクロマトグラフィーを用いて、沸点の異なる成分を一度に分離しようとする場合、カラムの温度を徐々に上昇させると、分析時間を大幅に短縮することが可能となる。このような分離の方法を昇温ガスクロマトグラフィーという。

2 検出器

 ガスクロマトグラフィーでは、様々な検出器が用いられる。ガスクロマトグラフィーで用いられる検出器の特徴と検出できる成分について以下にまとめる。

1)熱伝導度検出器(TCD)

 熱伝導度検出器は、カラムから溶離された成分により熱伝導率が変化し、それにより電気伝導が変化することを利用した検出器であり、ほとんどすべての有機・無機化合物を検出することができる。多くの物質を検出することができる反面、検出感度は高くない。

2)水素炎イオン化検出器(FID)

 水素炎イオン化検出器は、カラムからのキャリヤーガスに水素を混合し、燃焼させて水素炎を生じさせる検出器であり、炭素−水素(C−H)結合をもつ化合物の検出に用いられる。

3)電子捕獲検出器(ECD)

 電子捕獲検出器は、ハロゲンなどの電気陰性度の大きい物質が電子を受け取ることを利用した検出器であり、有機ハロゲン化合物などの超微量分析に用いられる。

電子捕獲検出器では、キャリヤーガスとして用いられる窒素ガス(N2)が検出器内で発生するβ線によりN2 → N2+eのようにイオン化され、その際生じるeが電気陰性度の大きい物質に受け入れられ、陰イオンを生じることを利用している。

4)質量分析計(MS)

 液体クロマトグラフィーと同様、ガスクロマトグラフィーにおいても検出器として質量分析計が用いられる。

5)その他の検出器

 ガスクロマトグラフィーでは、TCD、FID、ECD、MSに加え、炎光光度検出器(FPD)やアルカリ熱イオン化検出器(FTD)が用いられる。炎光光度検出器(FPD)では、硫黄(S)やリン(P)を含む化合物を選択的に検出でき、アルカリ熱イオン化検出器(FTD)では、窒素(N)やリン(P)を選択的に検出することができる。

◇関連問題◇
第86回問29、第90回問27

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