カルシウムは、人体に最も多く存在するミネラルの一つで、骨や歯の主要な構成成分として知られている。また、血液の凝固、筋肉の収縮、神経伝達、細胞の機能調節など、生命維持に必要な多くの生理機能に関与している。カルシウムの記号はCaで、原子番号20の元素である。
カルシウムの主な役割
- 骨や歯の形成と維持
- 体内のカルシウムの約99%が骨や歯に蓄えられており、これらの強度を保つ役割を果たす。
- 骨はカルシウムの貯蔵庫としても機能し、不足時には血液中へ供給される。
- 血液凝固
- 血液が凝固する際に必要な因子として働く(凝固因子の活性化に関与)。
- 筋肉の収縮
- 筋肉の収縮を制御するために不可欠。特に心筋や平滑筋の動きにも影響を及ぼす。
- 神経伝達
- 神経細胞間の信号伝達を助け、脳や筋肉との情報のやり取りを調整する。
- 細胞の機能調節
- 細胞内外でのカルシウム濃度の調節を通じて、ホルモン分泌や酵素活性、免疫反応などの多くの細胞活動に関与する。
カルシウムの供給源
- 食品からの摂取
- 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
- 魚類(小魚、いわし、ししゃもなどの骨ごと食べられる魚)
- 野菜(ホウレンソウ、小松菜、ブロッコリー)
- 大豆製品(豆腐、納豆、豆乳)
- ナッツ類(アーモンドなど)
- カルシウム強化食品(強化ミルクやシリアルなど)
- サプリメント
- カルシウムが不足しがちな場合、カルシウムサプリメントが補助的に使用されます。
- ビタミンDとの関係
- カルシウムの吸収にはビタミンDが重要。ビタミンDは小腸でのカルシウム吸収を手助けする。
カルシウム不足の影響
- 骨の弱化
- 小児:くる病(骨の発達障害)
- 成人:骨軟化症や骨粗鬆症(骨密度の低下)
- 筋肉や神経の異常
- 筋肉のけいれん(テタニー症状)や神経伝達異常。
- 血液凝固の遅延
- 出血が止まりにくくなる可能性がある。
カルシウム過剰摂取の影響
カルシウムを過剰に摂取すると、高カルシウム血症を引き起こす可能性がある。これにより以下のような症状が現れる場合がある:
- 悪心、嘔吐、便秘
- 腎結石の形成
- 骨や関節の痛み
- 心機能の異常(不整脈)
カルシウムと健康
- 骨粗鬆症予防
- 骨密度を維持するためにカルシウムの適切な摂取が不可欠。
- 心血管疾患との関係
- 適量のカルシウム摂取は、心血管系の健康を維持するのに役立つとされている。




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