オルニチン(Ornithine)は、アミノ酸の一種であり、タンパク質を構成する標準的なアミノ酸には含まれませんが、重要な生体機能に関与する化合物である。特に、尿素回路(オルニチン回路)において中心的な役割を果たす。
1. オルニチンの化学的特徴
- 化学式: C₅H₁₂N₂O₂
- 構造: オルニチンは、α-アミノ酸の一種で、アミノ基(-NH₂)が2つとカルボキシ基(-COOH)を持つ分子構造をしている。
- 性質: 水溶性が高く、生体内で容易に代謝される。
2. 生体内での役割
オルニチンは、以下のような重要な代謝経路に関与しています:
2.1 尿素回路(オルニチン回路)
- オルニチンは尿素回路の基盤となる物質で、肝臓のミトコンドリア内でアンモニアの解毒に寄与する。
- オルニチンはカルバモイルリン酸と結合してシトルリンを生成し、尿素回路を通じて最終的に尿素が作られる。
- オルニチン自体は回路内で再利用され、循環的に働く。
2.2 アミノ酸代謝
- アルギニンやシトルリンの代謝産物であり、これらのアミノ酸の生成・分解の中間体として機能する。
- クレアチンの合成にも関与する。
2.3 解毒作用
- オルニチンは尿素回路を通じてアンモニアを尿素に変換し、肝臓の解毒機能を手助けする。
- アンモニア濃度が高まると、オルニチンの需要が増加する。
3. 健康と生理機能への影響
オルニチンは、以下のような健康効果で注目されている:
3.1 疲労回復
- オルニチンはアンモニアの解毒を助けることで、筋肉疲労の回復に寄与するとされている。
- 運動後の疲労軽減や運動パフォーマンスの向上をサポートする。
3.2 肝機能の改善
- 肝臓でのアンモニア代謝を助け、肝機能を正常に保つ働きがある。
- 肝疾患の補助治療としても利用されることがある。
3.3 成長ホルモン分泌の促進
- オルニチンは、アルギニンとともに成長ホルモンの分泌を刺激すると考えられている。
4. オルニチンの臨床的利用
- 高アンモニア血症の治療: オルニチンはアンモニア代謝を促進するため、肝疾患や尿素回路障害の治療に役立てられている。
- 肝疾患の補助治療: 肝臓機能が低下している場合のアンモニア解毒を助ける目的で使用される。
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