オキサロ酢酸(Oxaloacetate, OAA)は、生体内で重要な役割を果たす4炭素化合物の一つであり、エネルギー代謝やアミノ酸代謝に関与する中間体として知られる。特に、クエン酸回路(TCA回路)の開始および終了物質であり、糖新生やアミノ酸の代謝にも関与している。
1. 基本情報
- 化学式: C₄H₄O₅
- 構造式: HOOC–CH₂–CO–COOH
- 分子量: 132.07 g/mol
- 性質:
- 水溶性で弱酸性。
- α-ケト酸(ケト基とカルボキシル基を持つ化合物)。
2. 生体内での役割
2.1 クエン酸回路の中間体
- オキサロ酢酸は、クエン酸回路の開始および終了分子として機能する。
- アセチルCoA(2炭素)とオキサロ酢酸(4炭素)が縮合してクエン酸(6炭素)を生成する。
アセチルCoA+オキサロ酢酸→クエン酸+CoA - この回路の最後で、リンゴ酸がオキサロ酢酸に変換され、次のサイクルに再利用される。
2.2 糖新生
- 糖新生(グルコースの新生合成)において、オキサロ酢酸は重要な中間体である。
- ピルビン酸がピルビン酸カルボキシラーゼの作用によりオキサロ酢酸に変換される。
- その後、オキサロ酢酸はリンゴ酸に変換されて細胞質に移動し、ホスホエノールピルビン酸(PEP)に変換されて糖新生経路に移行する。
2.3 アミノ酸代謝
- オキサロ酢酸は、アミノ酸の代謝において以下のように利用される:
- アスパラギン酸との間でアミノ基転移反応を行い、アスパラギン酸とピルビン酸を生成。
オキサロ酢酸+グルタミン酸⇄アスパラギン酸+α-ケトグルタル酸
- アスパラギン酸との間でアミノ基転移反応を行い、アスパラギン酸とピルビン酸を生成。
3. 合成と代謝
合成
- オキサロ酢酸は主に以下の経路で生成されます:
- ピルビン酸カルボキシラーゼ反応
ピルビン酸+CO2+ATP→オキサロ酢酸+ADP+P1 - リンゴ酸デヒドロゲナーゼ反応(リンゴ酸から変換):
リンゴ酸+NAD+→オキサロ酢酸+NADH+H+
- ピルビン酸カルボキシラーゼ反応
代謝
- オキサロ酢酸は以下の経路に利用されます:
- クエン酸回路に取り込まれてエネルギー代謝をサポート。
- 糖新生の前駆体としてグルコース合成に利用。
- アミノ酸の合成と分解における中間体。
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